独白 私のパニック障害

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ストレス社会で誰もが起こりうる「パニック障害」。完治には相当の根気がいるらしいが、それでも、この病気とうまく付き合っていく必要がある。
「闘病記」というほど大げさなものではないが、私が関わったこの病の全記録。素人なりの解説記事も書いたので興味のある方は参照のこと。

第Ⅰ期 めまいが続く日々(4月末〜8月末)

■2008年4月21日(月) <はじまりは突然に>

▼12時半ごろ

・外回りの最中。取引先からいただいたアイスコーヒーを飲む。
・30分ほどして、激しい焦燥感が襲う。続いて手足の震え、こめかみの頭痛、血の気が引くようなめまい(フワフワ感)、冷や汗、吐き気、腹痛が現れる。「いてもたってもいられない!」

▼14時半ごろ

・しばらく我慢していたが、もはや耐えられなくなり、仕事を中断。近くにあった総合病院に駆け込む。が、診察時間終了のため診断を拒否される。
・しかたなく、紹介してもらった病院へタクシーで急行。グロッキー状態。着くなり、顔面蒼白のため、ベッドに寝かされ、緊急で点滴を受ける。
・首から上で脈打つような頭痛がするため、血圧を検査。何と176まで上がっていた(通常は120-74)。
・CTスキャンで脳の検査をするが、異状なし。

▼19時ごろ

・診断は「片頭痛と緊張型頭痛の併発でしょう」。頭痛を抑える注射。頭痛は治まった感じがするが、フラフラ感はずっと抜けないまま。とりあえず頓服薬(頭痛用)をもらって帰宅する。

■4月22日(火)〜 <めまいの日々>

・めまいのため、午前中にはまったく起きられず。午前半休を1週間くらい繰り返すことになる。

■4月26日(土)<結果は?>

・血液検査の結果を聞きに行く。特に心配はないとのことだが、若干白血球の増加(12010)があったので、「何らかの細菌感染かもしれないね」との診断。抗生物質をいただく。念のため尿検査も行うが、特に異状なし。

■その後1〜2週間ほど <不調の日々>

・「フラフラ感」「クラクラ感」が続き、本調子でない感じ。会社を半休したり、上司に「とりあえず1日休め。これは業務命令だ。」と言われ1日休んだり、・・・を繰り返す。特に朝がフラフラして起きられない。微熱が続く。腰のしびれ、寒気が数日続く。

■GW<とりあえず治る>

・徐々に快方に向かう。

■5月14日(水)<突然の「失語症」>

▼朝

・駅のホームで電灯を見た直後、頭がクラクラする。
・会社で、左耳が「詰まった感じ」になる(5分くらい)。すぐに治る。その後、悪寒。腰のふるえ。

▼14時頃

・遅めの昼食を食べた直後、強い胃の痛みを覚える。
・会社の研修でグループ討議の司会。途中、突然言葉が出なくなり、同じ言葉ばかりが出てきて焦る。続いてめまい・冷や汗と吐き気。慌ててその場を退出する。
・急激な腹痛で、トイレに駆け込む。クラクラと軽いめまいが1時間ほど。その後回復する。
・この日は新人の歓迎会だったので、何とか我慢して出る。うーん・・・出ないほうがよかったかも。

■5月16日(金)<激しい発作・前夜>

▼11時半頃

・朝から頭頂部の鈍い痛みが気になっていた。職場で取引先と面談中、窓を見たら目の前がチカチカし(1秒くらい)、直後に激しい悪心が襲う。
・面談終了後、めまい(フワフワ感)、電話の声が聞き取りにくくなるなどの症状が。
・しばらくしてから吐き気がしたので、「休んでれば?」という周囲の助言に従い、応接間のソファーで1時間の仮眠を取る。医者からもらった「吐き気止め」を飲むが、まったく効かず。

▼13時頃

・目が覚めてからはひどいめまいが続き、こめかみの頭痛もしてきたので、午後に予定していた業務を他の社員に頼んで午後半休とする。頭がズキズキしてたまらない。 医者からもらった「頭痛頓服薬」はまったく効かず。

■5月17日(土)<ついに激しい発作が!>

▼8時半頃

・起きたとたん、これまでに感じた事のない激しいめまい。体がフワフワして立っているのさえやっとという状態。激しい吐き気。強い不安感(このまま気を失いそうな感じ。「吐き気止め」「頭痛頓服薬」を飲むが、まったく利かず。 というか余計ひどくなる。
・後頭部からこめかみにかけてのズキズキした頭痛、やがて後頭部が脈打つ(10分ほど)。居ても立っても居られない。頭がクラクラして、不安でたまらず、そのまま倒れこむように眠る。
・余りの体調の悪さに、病院に行くことすらできない状態。これには参った。

▼午後

・昼頃に一度、起きるが、頭を動かすだけでフラフラする。頭痛がひどく、寝返りも打てない状態。そのまま夜7時まで寝たり起きたりを繰り返す。徐々に快方に向かう。朝・昼は何も食べられなかった。

■5月18日(日)<不調は続く>

・起床時は、前日よりはましだが、フワフワ感、クラクラ感が続いている。午後からひどい寒気。検温すると微熱がある。食事は、朝、昼ともに軽く口に入れられる状態。夜の食事量は徐々に復調。首が妙にこる。

■5月19日(月) <国立病院の「診断書」で1週間の休養へ>

・ふらつきの症状が続くので、会社を休んで国立病院の神経内科・耳鼻科にかかる。めまいの精密検査をするが、特に異状はなさそう。「非頭位性めまい」との診断。「あるいは精神的なものかもしれないね」とも。 ここで気づいていれば・・・
・「とりあえずあなたは会社を休んだほうがいい」という医師の指示で、1週間の休養に入る。診断書(←これがまた高額なんだ)とめまいの薬を処方される。

■5月22日(木)<MRI検査>

・念のためと、MRI検査を実施するが、異状なしとのこと。

■5月26日(火) <復帰の日>

・会社に復帰。出社直前に激しいめまいがするが気合いで乗り切った。
・1週間くらいめまいが続く。定時出社・定時帰社の日々が続く。

■6月初旬

・東京本社の研修に参加。電車の中で激しいめまいと腹痛と悪心。ふらふらになりながらも会場へ向かう。この日は一日中めまいがしていた。

■7月24日(木) <発作再び>

▼14時頃

・鈍い頭痛。頭痛薬を飲むが利かず。その後ふらつきながら取引先へ。帰路、急激に熱中症のような症状が発生。激しいめまい。

▼夜

・激しい頭痛。とにかく頭がガンガンする。

■7月25日(金) <またまた発作>

▼15時頃

・外回りだったが激しいめまいのため、20分くらいで早退して、家の近所の病院へ駆け込む。「熱中症」との診断。点滴を打つ。

■7月28日(月) <めまいが続く>

・午前中、激しいめまいが起こったので、午前で半休。

■7月29日(火) <まだ続くめまい>

・めまいが続くため、会社を休む。

■7月30日(水) <気合>

・ふらつきは治まらないが、気合いで大きなイベント(2000人くらい来る)へ参加。翌日からは急激に元気になったが・・・

■8月の夏休みのある日 <また起こる発作>

▼12時半頃

・旅行中、急激に熱中症のような症状が発生。激しいふらつき。昼食がまったくのどを通らず。30分ほどで治る。

これ以降、症状がいったん「嘘のように」収まる。
「ああ、よかった」と思えたのは、束の間の1か月・・・

第Ⅱ期 めまい再び・・・しかし原因が分かった!(10月末〜)

■10月21日(火) <悲劇の予兆>

▼11時過ぎ

・研修会で講師の講話を聞いている途中、軽く血の気が引いてさらにめまいまでしてくるがすぐ治る。何となく嫌な予感がしたが元気にふるまう。が、帰りに、ある取引先さんに「今日あなたを見ていたけれど、体調あんまり良くないんじゃない?・・・実は治ってないでしょ?顔色も悪いよ。」と予言めいたことを言われる。

■10月25日(土) <旅先の恐怖>

▼15時頃

・旅行で道を歩いている途中、突然のめまいと動悸と冷や汗。このまま死ぬかと思ったが、気合いで乗り切る。

▼19時頃

・町中を歩いていたらさらに突然のめまい。これも気合いで乗り切る。

■10月26日(日)<旅先の軽発作>

▼8時頃

・移動中の電車の中で急に気が遠くなるが、音楽を聞いて乗り切る。

▼13時頃

・さらにその午後、町中でひどいめまいが襲うがこれも気合いで乗り切る。

■10月29日 (水) <発作、ふたたび>

▼12時半頃

・都内で大きなイベントに参加。聴講中、突然、血の気が引いたようなめまいがする。
・帰路、激しいふらつき。吐き気。周囲の社員から「顔色が悪いけど大丈夫?」との言。もちろん大丈夫ではなかった。
・とても電車に乗れそうではなかったので、ほかの社員と別れ、何とか道を聞いて、近くの大きな病院へタクシーで向かう。

▼13時過ぎ

・病院の受付で症状を告げると、救急病棟へ回される。救急隊員の問診後、車椅子で運ばれ、ベッドへ。即座に点滴(ブドウ糖とめまいを抑える薬)。とにかく寒いので毛布を大量にかけてもらう。手のふるえが止まらない。
・血圧測定、血糖値測定、血液検査、心電図検査、尿検査、肺レントゲン検査、CTスキャン、脚気検査、めまい検査などありとあらゆる検査を受けるが、どれも「異状なし」の診断。「自律神経系か、起立性の貧血か・・とりあえず休んで様子をみてください」とのお話。

▼18時頃

・電車に乗って帰宅。

■10月30日(木) <ついに起こった大発作! 人生初の救急車!!>

▼午前中

・若干頭のふらつきがあるので、会社を半休して安静にしている。

▼11時過ぎ

・何となく体調がすぐれないが、意を決し出勤する。電車の中で寝てしまう。駅から降りると、途中から手足が妙に寒くなってくる−と思ったら、だんだんふらつきがひどくなってくる。会社に着くころにはめまいがひどくてどうしようもない状態。しかしここまで来たら帰るに帰れない。

▼12時頃

・出社。会社に着いた途端、「顔が青色になっているからすぐ家に帰れ」と言われる。
・それでもぐずぐずしていたら、めまいがひどくなってきた。周囲に「来た時よりも悪い。顔が緑色になってき たぞ。今日は今すぐ帰れ」とのこと。忠告に沿い、帰ることにする。エレベーターホールの前で倒れそうになるが、気合いで乗り切る。

▼12時半頃

・帰宅途中、道端で急激に血の気が引いたようなふらつき。焦燥感。吐き気。「このまま倒れこむかも!」
・ついに歩けなくなる。かなり焦る。近くのコンビニに這って行く。
・コンビニ。「体調が悪くて・・」と告げると、レジのおばちゃんがタクシーの電話番号のメモをくれる。 内心で「タクシーを呼べる元気があったらとっくに自分で呼んでるよ!」とツッコミを入れつつ、気が遠くなりそうになりながら、「救急車を呼んでもいいですか?」と聞き、 携帯で自ら救急車を手配する。
・店員さんが椅子を用意してくれるが、もはや椅子にも座れず、レジの前で座り込む。まるで営業妨害だ・・・
・とにかく119番をして、「救急です。本人です」という。すると、「本人ですか?」と聞き返される。確かに本人が電話するというのは変だが・・・

▼13時頃

・人生初の救急車が到着。救急隊員に「立てる?」と聞かれるが、もはや一歩も動けず、担架で運ばれる。
・車内。たくさん話しかけてくれる救急隊員が優しすぎる。急激に手足がしびれ、氷のように冷たくなって固まる。自分自身は息苦しいと感じないのだが、血中の酸素濃度が異常に高いようで、「過呼吸気味だね」、との話。「過呼吸と言われたことはある?」との質問に「はじめて言われました」と回答する。「これは精神的なものもありそうだね」との話も。しかし、とにかくふらつく。具合が悪いとはこういうことをいうのだ。血圧は162とかなり高い。なお、どうでもいいが救急車は乗り物酔いすることが分かった。とにかく揺れる。 気持ち悪すぎる。

▼13時過ぎ

・搬送先の総合病院の救急病棟で点滴を受ける。とにかく寒いので毛布をかけてもらう。手のふるえ。側頭部の激しくも鈍い、不快な頭痛。

▼18時頃

・血液検査の結果は、「異状なし」の診断。「何度も検査をして異常がないということは、精神的なものも考えたほうがいいかもしれないね。とりあえず休んで様子をみなさい」とのお話。帰宅するが、ふらつきは残る。

■10月31日(金) <セロトニンの不足>

・めまいが続くので、会社は休むことにした。意を決し近くの「メンタルクリニック」へ。症状を言うなり、笑いながら「ああ、これはパニック障害だよ」と言われる。「死ぬことはないので薬を飲んで普通にしていればいい」こと、 症状が治まるのに半年〜1年くらいはかかることを説明される。
・セロトニンが不足しているらしいので、それを増やす「抗うつ薬(パキシル)」と、「抗不安薬(ソラナックス)」をいただく。
・その後上司と相談のうえ、また会社を1週間休むことに。

Ⅲ期 その後・・・

・「脳に手を突っ込まれたような異常感覚」と手の震え、めまいが続く(2週間くらい)。
・12月以降は、大きなイベントの最中に酷いめまい&会議の司会中にめまい発生など突発的に発作が起こるが、毎回、頓服の「抗不安薬」を飲んでその場をしのいでいる。
・今はおよそ週に2〜3回のペースで小発作(めまい)が起こるが、徐々に復調しつつある。

第Ⅳ期 さらにその後・・・

・結局、「パキシル」と「ソラナックス」は、2012年の春先ころまで、3年半近く毎日飲み続けることになる。ある日、ダラダラと飲み続けるのはもうやめよう=「断薬しよう」と決めて、医師に「もう薬をやめます」と伝え、1週間で薬を断つことに成功した。
・その後、ストレスがかかると「乗り物酔い」のような症状を呈することがあり、その都度「乗り物酔い止め」に頼ることもあったが、2013年ころからはまったく症状がでなくなり、以降、7年にわたって発作の症状は出ていない。自己判断ではあるが、「治癒」したものと思って日常を過ごしている(肩こりに起因するめまいは継続的に起こっているのだが、「あ、これは肩こりのせいだ」とか「ちょっと疲れすぎたかな」と思えるようになったので、もはやそこからパニックを起こすことはなくなった、と言える)。


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