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日本国憲法改正私案
平成24年12月版
 
改正案 備考 現行憲法

(削除)

 

前文

(削除) 直訳調で主述関係を取りにくい前文は、削除とした。 日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。
 日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。
 われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。
 日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。

第1章 天皇

  第1章 天皇
第1条〔天皇の地位・国民主権〕
(1) 天皇は、日本国を統べる君主にして、日本国及び日本国民統合の象徴であって、その地位は、永久不可侵のものである。
(2) 国民は、国政すべてを自らの責によって執行する、主権者である。
我が国が立憲君主制民主主義国家であることを明記した。 第1条〔天皇の地位・国民主権〕
天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。
第2条〔皇位の世襲と継承〕
皇位は、万世一系のものであって、国会が議決し、皇室会議が承認した皇室典範の定めるところにより、継承される。
皇室典範は皇室の家法であるから、その改正には国会の議決に加え、皇室会議の承認を必要とした。 第2条〔皇位の世襲と継承〕
皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。
第3条〔国事御行為に対する内閣の輔弼と責任〕
天皇の国事に関するすべての御行為には、内閣の輔弼を必要とし、内閣が、その責任を負う。
「助言と承認」は不遜な言葉なので、「輔弼」に置換した。 第3条〔国事行為に対する内閣の助言・承認と責任〕
天皇の国事に関するすべての行為には、内閣の助言と承認を必要とし、内閣が、その責任を負ふ。
第4条〔天皇の権能の範囲、国事御行為の委任〕
(1) 天皇は、この憲法の定める国事に関する御行為のみを行い、国政に関する権能を有しない。
(2) 天皇は、皇室典範及び法律の定めるところにより、その国事に関する御行為を皇族に委任することができる。
国事行為の委任者を明確化した。 第4条〔天皇の権能の限界、国事行為の委任〕
(1)天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する権能を有しない。
(2)天皇は、法律の定めるところにより、その国事に関する行為を委任することができる。
第5条〔摂政〕
皇室典範の定めるところにより摂政を置くときは、摂政は、天皇の名でその国事に関する行為を行う。この場合には、前条の規定を準用する。
第5条〔摂政〕
皇室典範の定めるところにより摂政を置くときは、摂政は、天皇の名でその国事に関する行為を行ふ。この場合には、前条第1項の規定を準用する。
第6条〔天皇の任命権〕
(1)天皇は、国会の指名に基づいて、内閣総理大臣を任命する。
(2)天皇は、内閣の指名に基づいて、最高裁判所の長たる裁判官を任命する。
第6条〔天皇の任命権〕
(1)天皇は、国会の指名に基いて、内閣総理大臣を任命する。
(2)天皇は、内閣の指名に基いて、最高裁判所の長たる裁判官を任命する。
第7条〔国事御行為〕
天皇は、内閣の輔弼により、左の国事に関する御行為を行う。
1 神事、皇位の継承、その他皇室における伝統的儀式を担うこと。
2 法律の定めるところにより、改元を行うこと。
3 憲法改正、国会が可決した法律、政府の定める政令及び諸外国と締結された条約を公布すること。
4 国会を召集すること。
5 衆議院を解散すること。
6 国会議員の選挙の施行を公示すること。
7 国務大臣及び法律の定めるその他の官吏の任免を認証すること。
8 内閣の発する全権委任状並びに大使及び公使の信任状を認証すること。
9 叙勲、褒章、その他の栄典を授与すること。
10 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を認証すること。
11 批准書及び法律の定めるその他の外交文書を認証すること。
12 外国の大使及び公使を接受すること。
13 その他、国民的行事への行幸。
国事御行為に、神事等の国体に関わる項目を追加した。 第7条〔国事行為〕
天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。
1 憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること。
2 国会を召集すること。
3 衆議院を解散すること。
4 国会議員の総選挙の施行を公示すること。
5 国務大臣及び法律の定めるその他の官吏の任免並びに全権委任状及び大使及び公使の信任状を認証すること。
6 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を認証すること。
7 栄典を授与すること。
8 批准書及び法律の定めるその他の外交文書を認証すること。
9 外国の大使及び公使を接受すること。
10 儀式を行ふこと。
第8条〔皇室の財産授受の法定制〕
皇室による財産の賜与、若しくは皇室への財産の譲渡又は皇室による財産の譲受については、法律の定めるところによる。
第8条〔皇室の財産授受〕
皇室に財産を譲り渡し、又は皇室が、財産を譲り受け、若しくは賜与することは、法律に基づかなければならない。

第2章 国体

国体に関わる事項を憲法ベースで規定することで、右左双方による不毛な議論を打ち切る助けとする。

(新設)

 

第9条〔国号〕
我が国の国号は、日本国とする。
  (新設)
第10条〔元首〕
我が国の元首は、天皇である。
元首としての天皇を明文化した。 (新設)
第11条〔年号〕
我が国の年号は、元号とする。改元は、皇位の継承に基づく。
  (新設)
第12条〔国旗〕
我が国の国旗は、日章旗とする。
(新設)
第13条〔国歌〕
(1) 我が国の国歌は、『君が代』とする。
(2) 君が代の歌詞は 「君が代は 千代に八千代に 細石の 巌となりて 苔の生すまで」 とする。
(新設)
第14条〔領域〕
我が国は、法律に基づき、日本列島と附属の島嶼を領土とし、その領空、領海、並びに国際的に認められた水域を、何者にも侵せない固有の領域として保持する。
(新設)
第15条〔国語〕
我が国の国語は、日本語とする。
(新設)
第16条〔首都〕
(1) 首都には、天皇が住まう。
(2) 首都には、国会、内閣及び最高裁判所を置く。
(3) 我が国の首都は、東京とする。
首都を東京と明記し、不毛な議論を打ち切る助けとする。 (新設)
第17条〔国民の要件〕
日本国民たる要件は、法律で定める。
第3章第10条〔国民の要件〕
日本国民たる要件は、法律でこれを定める。
第18条〔国民の代表〕
日本国民の代表者且つ日本国政府の最高責任者は内閣総理大臣とする。
政府の最高責任者としての内閣総理大臣の地位を明確化した。 (新設)

第3章 国防

  第2章 戦争の放棄
第19条〔侵略戦争の放棄、自衛権の保持〕
(1)国民は、秩序ある国際平和を希求し、他国の主権と独立を害する侵略的手段としての戦争及び武力による威嚇又は武力の行使は行わない。
(2)我が国は、我が国又は国際関係の平和秩序維持、国際法に基づく領域の保全、及び日本国民の生命と財産並びに安全の確保を目的とした自衛権を保持する。
(3)前項で定める自衛権は、我が国単独ないし諸国連携に関わらず、国防上必要な範囲で行使する。
侵略戦争を明確に否定した。 第9条〔戦争の放棄、戦力の不保持、交戦権の否認〕
(1)日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
(2)前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
第20条〔国防軍の保持〕
(1)我が国は、我が国の平和と独立のため、又国民の生命と財産並びに安全の確保のため、陸海空その他の国防軍を保持する。
(2) 国防軍は、内閣総理大臣を最高司令官とし、法律の定めるところにより、国会の承認その他の文民による統制に基づいて行動する。
自衛隊の軍としての活動を憲法ベースで明記することで、軍隊の解釈運用に歯止めを掛けた。 (新設)
第21条 〔国防軍の組織と活動内容〕
(1) 国防軍の組織や、統制に関わる事項は、すべて法律で定める。
(2) 国防軍は、前条に定める活動のほか、法律の定めるところにより、国際社会において、国民の生命や財産、安全を守るための活動のほか、諸国連携で行われる国際平和の維持並びに人道的な支援を目的とした活動を行うことができる。
国際平和維持活動や国際人道支援への派兵も憲法で明文化することで、軍隊の解釈運用に歯止めを掛けた。 (新設)
第22条 〔軍法会議の設置〕
(1)国防軍には、法律の定めるところにより、国防軍の規律及び機密に関わる事項を採決する裁判所として、軍法会議を置く。
(2)何人も、軍法会議の判決について、上級裁判所へ控訴する権理を奪われない。
国防機密の護持のため、軍法会議を設置することを明記。
第23条〔徴兵制の否定〕
国は、何人に対しても、国防軍を構成する軍人を、本人の意思に依らず徴してはならない。
徴兵制を憲法ベースで否定することとした。 (新設)
第24条〔交戦の手続と法定〕
(1)国の交戦は、内閣総理大臣が発議し、法律に定める手続きによって、国務大臣全員の承認を得たのち、国会が審議し、 各議院の総議員の過半数がこれを可としたとき、決定する。但し、かかる国会の議決は、発議から七日以内に行われることを必要とする。
(2)国の交戦が決されたときは、法律の定めるところにより、内閣が、これを速やかに天皇に奏上し、内閣総理大臣が、直ちに国民に公表し、法律で定める官吏が、当事者に速やかに宣戦 の布告をすることを必要とする。
交戦の手続きを明文化することで、緊急事態において超法規的な措置が取られることを防ぐ目的の条文である。 (新設)
第25条〔停戦の手続と法定〕
(1)国の停戦は、内閣総理大臣が発議し、又は国会議員の総議員の五分の一以上の要求を以て発議し、国会が審議し、決定する。但し、かかる国会の議決は、発議から五日以内に行われることを必要とする。
(2)国の停戦が決されたときは、法律の定めるところにより、内閣が、これを速やかに天皇に奏上し、内閣総理大臣が、直ちに国民に公表し、法律で定める官吏が、当事者に速やかに停戦の通告を行うことを必要とする。
交戦に比べ、停戦のための手続きを簡略化し、国が非常時において迅速な判断を行うことを企図した。 (新設)
第26条〔文民統制〕
(1)国防軍は、内閣総理大臣を最高司令官とし、法律の定めるところにより、文民により選ばれた大臣による指揮に基づき、国会の承認その他の文民による統制に基づいて行動する。
(2)文民による統制なき国防軍の行動や命令は、何人に対してもその効力をなさない。
文民統制の原則を明確化した。 (新設)

第4章 国民の権理及び義務

「権利」では「利」の言葉が強くはたらきすぎるため、本案では「権理」の語を使用する。語義は、「権力の理(ことわり)」。 第3章 国民の権利及び義務
第27条〔基本的人権の保障〕
国は、すべての国民に、基本的な人権をあまねく保障する。
基本的人権を保障する主体が国であることをを明確にした。 第11条〔基本的人権の普遍性、永久不可侵性、固有性〕
国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。
第28条〔国体護持義務、不敬行為の禁止〕
何人も、左の行為をしてはならない。
1 天皇への不敬及び不遜な言動又は行為。
2 第2章で定める国体を敬愛しない言動又は行為。
3 我が国の誇りを汚すような言動又は行為。
4 我が国の歴史や伝統、文化及び風習を破壊する行為。
5 国家騒擾、外患誘致、及び国体転覆の謀略を企図若しくは実行すること。
6 外圧の誘致による国への内政干渉及び文化的干渉の誘発。
7 正当な選挙や国民投票に基づくことのない、暴力や暴動及び扇動などによる、政府及び社会への干渉。
8 この憲法並びに法律、政令、条例その他公共の秩序及び利益に背く行為。
国体護持義務を定めた。とくに内政干渉や文化的干渉の誘致を規制することで、特定層の売国的な活動を制限することを目的としている。

日本国民であればこの条項に反対する者はいないはずで、この条文は危険分子のリトマス試験紙となり得る。

(新設)

 
第29条〔自由及び権理の保持責任と濫用禁止、自己責任原則〕
(1)この憲法が国民に保障する自由及び権理は、国民の不断の努力でその維持に努めなければならない。
(2)国民は、この憲法が保障する自由及び権理を自己の利益のためだけに濫用してはならず、常に公共の利益に反しない範囲で用いる義務と責任を負う。
(3)国民は、この憲法が保障する自由及び権理に基づいて自己が判断したすべての行為において、かかる社会的な結果を、自らの責任において処理しなければならない。
「公共の福祉」という言葉を、より直截的な「公共の利益」という言葉に置き換えた。

又、自己責任の原則を明文化し、「自由と責任は表裏一体」であることを明確に示した。

第12条〔自由及び権利の保持責任と濫用禁止〕
この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。
第30条〔個人の尊重と公共の利益〕
すべての国民は、個人として尊重される。この憲法が保障する生命、自由及び幸福追求に対する国民の権理については、公共の利益に反しない限り、立法その他国政の上で、最大限の尊重を必要とする。
第13条〔個人の尊重と公共の福祉〕
すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
第31条〔法の下の機会均等、貴族制度の禁止、栄典〕
(1)国民は、すべて法の下に機会均等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地、居住地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
(2)貴族の制度は認めない。
(3)栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴わない。これら栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。
「法の下の平等」を「法の下に機会均等」と置き換え。 第14条〔法の下の平等、貴族制度の禁止、栄典〕
(1)すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
(2)華族その他の貴族の制度は、これを認めない。
(3)栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない。栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。
第31条〔公務員の選定・罷免権と義務性、全体の奉仕者性、普通選挙・秘密投票の保障、公務員の資格〕
(1)公務員を選定又は罷免することは、国民固有の権理並びに義務である。
(2)すべての公務員は、国家全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない。
(3)公務員の選挙については、国民且つ成年者による普通選挙を保障する。
(4)選挙における投票の秘密は、いかなる場合も侵してはならない。有権者は、その選択に関し、公的にも私的にも責任を問われない。
公務員の選挙は「国民」が行うことを明文化することで、外国人参政権を否定した。 又参政は義務性もあるものとして条文化した。 第15条〔公務員の選定・罷免権、全体の奉仕者性、普通選挙・秘密投票の保障〕
(1)公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。
(2)すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。
(3)公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する。
(4)すべて選挙における投票の秘密は、これを侵してはならない。選挙人は、その選択に関し公的にも私的にも責任を問はれない。
第32条〔請願権〕
(1)何人も、法律の定めるところにより、損害の救済、公務員の罷免、法律及び政令や条例、命令並びに規則の制定、廃止又は改正その他の事項に関し、 国及び公共の団体に対して、平穏に請願する権理を有する。
(2)何人も、前項の請願をしたためにいかなる差別待遇も受けない。
第16条〔請願権〕
何人も、損害の救済、公務員の罷免、法律、命令又は規則の制定、廃止又は改正その他の事項に関し、平穏に請願する権利を有し、何人も、かかる請願をしたためにいかなる差別待遇も受けない。
第33条〔国及び公共団体の賠償責任〕
何人も、公務員の不法行為により、損害を受けたときは、法律の定めるところにより、国又は公共の団体に、その賠償を求めることができる。
第17条〔国及び公共団体の賠償責任〕
何人も、公務員の不法行為により、損害を受けたときは、法律の定めるところにより、国又は公共団体に、その賠償を求めることができる。
第34条〔奴隷的拘束・苦役からの自由〕
何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。又、犯罪に因る処罰の場合を除いては、その生命を奪われたり、意に反する苦役に服させられたりしない。
  第18条〔奴隷的拘束・苦役からの自由〕
何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。又、犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない。
第35条〔犯罪・冤罪被害者の人権保護〕
国は、犯罪又は冤罪によって被害を被った者とその親族に対し、その人権の保護に努めなければならない。

国に、犯罪被害者を保護することを求める規定を新設した。

(新設)

第36条〔思想・良心の自由〕
思想及び良心の自由は、侵してはならない。
第19条〔思想・良心の自由〕
思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。
第37条〔人格権・プライバシー権〕
(1)何人も、その名誉、信用その他の人格を不当に侵害されない権理を有する。
(2)何人も、私人としては、その私事、親族の心情、社会的身分又は門地、居住地について、みだりに干渉されない権理を有する。
人格権やプライバシー権を新設した。

プライバシー権については「私人」への適用を明記し、「公人」がプライバシー権を盾に必要な情報を隠蔽することがないように縛りをかけている。

(新設)

第38条〔信教の自由、政教分離〕
(1)信教の自由は、何人に対しても保障する。
(2)いかなる宗教団体も、国から特権を受けることは認められず、又、政治上の権力も有してはならない。
(3)何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加すること、若しくはしないことを、強制されない。
(4)国及びその機関は、日本民族の歴史、伝統及び慣習に依るものを除き、宗教教育、その他特定の宗教団体に便宜を図るようないかなる宗教的活動の強制もしてはならない。
日本民族の歴史に根差す宗教的な活動は、「政教分離」の理念からは外れるために制限から除外している。 第20条〔信教の自由、政教分離〕
(1)信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。
(2)何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。
(3)国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。
第39条〔集会・結社・表現の自由、検閲の禁止、通信の秘密〕
(1)国は、集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由を、何人に対してもあまねく保障する。
(2)検閲は、してはならない。
(3)通信の秘密は、侵してはならない。
表現の自由を保障する主体が「国」であることを明文化した。 第21条〔集会・結社・表現の自由、検閲の禁止、通信の秘密〕
(1)集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
(2)検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。
第40条〔知る権理、情報公開の原則〕
(1)すべての国民は、国及び公共の団体の行為の内容を、正確に知る権理を有する。
(2)国及び公共の団体は、国民からの公開及び説明の要求があったときは、法律の定めるところにより、国家の機密に関する事項を除き、持てる情報を直ちに国民に公開及び説明 する義務を負う。
(3)前項に基づく情報の公開は、無償とする。

いわゆる国民の「知る権利」と国と公共団体の「情報公開の義務」を明文化した。

(新設)

 
第41条〔居住・移転・職業選択の自由、外国移住・国籍離脱の自由〕
(1)何人も、公共の利益に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。
(2)何人も、無国籍にならない限りは、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない。
第22条〔居住・移転・職業選択の自由、外国移住・国籍離脱の自由〕
(1)何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。
(2)何人も、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない。
第42条〔学問の自由〕
何人も、自由に学ぶ権理が保障される。
第23条〔学問の自由〕
学問の自由は、これを保障する。
第43条〔家族生活における個人の尊厳・両性の平等、家族の相互扶助義務〕
(1)婚姻は、成年においては男女の合意のみに、未成年においては男女の合意と親権者の保障のみに基づいて成立し、夫婦が同等の権理を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
(2)配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関して、法律は、個人の尊厳と男女の機会均等に立脚して、制定されなければならない。
(3)婚姻を基盤とする家族は、相互に扶助する義務を負う。
「家族の相互扶助義務」を明記した。 第24条〔家族生活における個人の尊厳・両性の平等〕
(1)婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
(2)配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。
第44条〔国民の生存権、国の社会保障義務、在外国民の保護〕
(1)すべての国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権理を有する。
(2)国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。
第25条〔国民の生存権、国の社会保障的義務〕
(1)すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
(2)国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。
第45条〔在外国民の保護〕
国は、国外において緊急の事態が発生した場合は、在外の国民を保護し、その生命と財産及び安全の確保に努めなければならない。
在外国民を国が保護する義務を定めた。 (新設)
第46条〔環境権と環境の保全義務〕
(1)何人も、良好な自然環境と生活環境を享受する権理を有する。
(2)国及び国民は、良好な自然環境と生活環境を保全及び維持するよう努めなければならない。
いわゆる環境権を定めた項目であるが、良好な環境は国だけでなく、国民も維持する責務があることを明確にした。

(新設)

 
第47条〔教育を受ける権理・教育の義務〕
(1)すべての国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権理を有する。
(2)すべての国民は、法律の定めるところにより、その保護する子どもに普通教育を受けさせる義務を負う。
(3)前項で定める義務教育は、法律により定める最低限度の必要な経費を除き、無償とする。
(4)国は、国民が良好な教育をあまねく享受できるよう、教育環境の整備に努めなければならない。
国が、良好な教育環境を国民のために整える義務を明記した。 第26条〔教育を受ける権利・教育の義務〕
(1)すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。
(2)すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。
第48条〔労働と適正な報酬・休暇の権理、勤労の義務、勤労条件の基準、児童酷使の禁止〕
(1)すべての国民は、労働する権理を有する。
(2)すべての国民は、労働の対価としての適正な報酬及び休暇を得る権理を有する。
(3)成年のすべての国民は、勤労の義務を負う。
(4)賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律で定める。
(5)児童は、酷使してはならない。
第27条〔勤労の権利義務、勤労条件の基準、児童酷使の禁止〕
(1)すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ。
(2)賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める。
(3)児童は、これを酷使してはならない。
第49条〔労働基本権〕
勤労者には、団結する権理及び団体交渉の権理を保障する。又、公共の利益に反しない限り、団体で行動する権理も保障する。
団体行動権に、「公共の利益」の制約を追記し、公務員の団体行動制限のある現状を追認する表記とした。 第28条〔労働基本権〕
勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。
第50条〔財産権〕
(1)国は、財産権を不当に侵してはならない。
(2)財産権の内容は、公共の利益に適合するように、法律で定める。
(3)私有財産は、法律の定めるところにより、正当な補償の下、公共の利益のために用いることができる。
第29条〔財産権〕
(1)財産権は、これを侵してはならない。
(2)財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。
(3)私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。
第51条〔納税の義務、租税法律主義〕
国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負う。
第30条〔納税の義務〕
国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ。
第52条〔法定手続の保障〕
何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪われ、又はその他の刑罰を科せられない。
第31条〔法定手続の保障〕
何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。
第53条〔裁判を受ける権理、複審制〕
(1)何人も、裁判所において迅速且つ公平な裁判を受ける権理を有する。
(2)何人も、下級裁判所の判決に異議がある場合は、法律の定めるところにより、上級の裁判所に提訴する権理を有する。
裁判が一審制ではないことを明記した。 第32条〔裁判を受ける権利〕
何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない。
第54条〔逮捕の要件、令状原則〕
何人も、現行犯として逮捕される場合を除いては、法律の定めた権限を有する裁判官が発する、その犯罪を明示する令状によらなければ、逮捕されない。
第33条〔逮捕の要件、令状原則〕
何人も、現行犯として逮捕される場合を除いては、権限を有する司法官憲が発し、且つ理由となつてゐる犯罪を明示する令状によらなければ、逮捕されない。
第55条〔抑留・拘禁の要件、拘禁理由の開示〕
何人も、理由を直ちに告げられ、且つ、直ちに弁護人に依頼する権理を与えられなければ、抑留又は拘禁されない。又、何人も、正当な理由がなければ、拘禁されず、要求があれば、その理由は、直ちに本人及びその弁護人の出席する公開の法廷で示されなければならない。
第34条〔抑留・拘禁の要件、拘禁理由の開示〕
何人も、理由を直ちに告げられ、且つ、直ちに弁護人に依頼する権利を与へられなければ、抑留又は拘禁されない。又、何人も、正当な理由がなければ、拘禁されず、要求があれば、その理由は、直ちに本人及びその弁護人の出席する公開の法廷で示されなければならない。
第56条〔住居の不可侵、捜索・押収の要件〕
何人も、第54条の場合を除いては、法律の定めた権限を有する裁判官が発する、捜索する場所及び押収する物を明示する令状によらなければ、その住居、書類及び所持品について、侵入、捜索及び押収を受け ない。
第35条〔住居の不可侵、捜索・押収の要件〕
(1)何人も、その住居、書類及び所持品について、侵入、捜索及び押収を受けることのない権利は、第33条の場合を除いては、正当な理由に基いて発せられ、且つ捜索する場所及び押収する物を明示する令状がなければ、侵されない。
(2)捜索又は押収は、権限を有する司法官憲が発する各別の令状により、これを行ふ。
第57条〔拷問・残虐刑の禁止〕
公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対に禁止する。
  第36条〔拷問・残虐刑の禁止〕
公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対にこれを禁ずる。
第58条〔刑事被告人の諸権理〕
(1)すべて刑事事件において、被告人は、公平な裁判所において迅速な公開裁判を受ける権理を有する。
(2)刑事被告人は、すべての証人に対して審問する機会を充分に与えられ、又、公費で自己のために強制的手続により証人を求める権理を有する。
(3)刑事被告人は、いかなる場合にも、資格を有する弁護人を依頼することができる。被告人が自ら弁護人を依頼できないときは、国でこれを附する。
  第37条〔刑事被告人の諸権利〕
(1)すべて刑事事件においては、被告人は、公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利を有する。
(2)刑事被告人は、すべての証人に対して審問する機会を充分に与へられ、又、公費で自己のために強制的手続により証人を求める権利を有する。
(3)刑事被告人は、いかなる場合にも、資格を有する弁護人を依頼することができる。被告人が自らこれを依頼することができないときは、国でこれを附する。
第59条〔不利益供述の不強要、自白の証拠能力〕
(1)何人も、自己に不利益な供述を強要されない。
(2)強制、拷問若しくは脅迫による自白又は不当に長く抑留若しくは拘禁された後の自白、その他正当な手続きに依らないで得られた自白は、証拠とすることができない。
(3)何人も、自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合には、有罪とされること、又は刑罰を科せられることはない。
  第38条〔不利益供述の不強要、自白の証拠能力〕
(1)何人も、自己に不利益な供述を強要されない。
(2)強制、拷問若しくは脅迫による自白又は不当に長く抑留若しくは拘禁された後の自白は、これを証拠とすることができない。
(3)何人も、自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合には、有罪とされ、又は刑罰を科せられない。
第60条〔遡及処罰の禁止・二重処罰の禁止〕
何人も、実行の時に適法であった行為又は既に無罪とされた行為については、刑事上の責任を問われない。又、同一の犯罪について、重ねて刑事上の責任を問われない。
  第39条〔遡及処罰の禁止・二重処罰の禁止〕
何人も、実行の時に適法であつた行為又は既に無罪とされた行為については、刑事上の責任を問はれない。又、同一の犯罪について、重ねて刑事上の責任を問はれない。
第61条〔刑事補償〕
何人も、抑留又は拘禁された後、無罪の裁判を受けたときは、法律の定めるところにより、国にその補償を求めることができる。
  第40条〔刑事補償〕
何人も、抑留又は拘禁された後、無罪の裁判を受けたときは、法律の定めるところにより、国にその補償を求めることができる。

第5章 国会

  第4章 国会
第62条〔国会の地位・立法権〕
国会は、国民の総意を代表する機関であって、国の唯一の立法機関である。
三権分立を明確にするため、「国権の最高機関」という表記は取りやめ、「国民の総意を代表する機関」とした。 第41条〔国会の地位・立法権〕
国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である。
第63条〔両院制〕
国会は、衆議院及び参議院の両議院で構成する。
  第42条〔両院制〕
国会は、衆議院及び参議院の両議院でこれを構成する。
第64条〔衆議院の組織〕
衆議院は、国民によって選挙された議員で組織する。
  第43条〔両議院の組織〕
(1)両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する。
 
第65条〔参議院の組織〕
(1)参議院は、次の議員により組織する。
1 国民によって選挙された参与議員。
2 地方公共団体において直接選挙された広域的自治体の長を兼務する、地方代表議員。
参議院の構成を、選挙によって選ばれた参与議員並びに、都道府県知事からなる地方代表議員によるものとし、大幅な変更を図った。 (新設)
第66条〔各議員の性格〕
(1)衆議院の議員は、全国民を代表する。
(2)参議院の参与議員は、全国民を代表する。
(3)参議院の地方代表議員は、その広域的自治体における国民の総意を代表する。
衆参各々の性格を変えることで、二院制の意義を拡大し、より多彩な民意が反映できるような制度設計とした。 (新設)
第67条〔両議院の定数〕
(1)両議院の議員の定数は、法律で定める。但し、国は、両議院を合わせて国民30万人当たりに1名を超える割合で両議員の定数を定めてはならない。
(2)参議院の議員の定数は、衆議院の議員の定数の半数以下とする。又、地方代表議員の定数は、参与議員の定数未満でなければならない。
国会議員の数を現行の半減とするための規定。
現在は人口16万人に1名の割合で議員がいるが、これを30万人に1名とする。

この規定によって、国会議員の定数は、衆議院200名、参議院100名(参与議員53名+地方代表議員=都道府県知事47名)の計300名程度となる見込み。

第43条の(2)両議院の議員の定数は、法律でこれを定める。
第68条〔両議院の性格〕
(1)衆議院は、全国民を代表する議会である。
(2)参議院は、衆議院を補佐し、並びに地方の総意を代表する議会である。
衆議院は国民代表議会、参議院は衆議院の補佐且つ地方代表議会と明確に分けた。 (新設)
第69条〔議員及び選挙人の資格の法定、議員定年制〕
(1) 衆議院の議員、参議院の参与議員及びその選挙人は、成年の国民でなければならない。
(2) 衆議院の議員、参議院の参与議員及びその選挙人の資格は、法律で定める。但し、これを居住地域、人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産又は収入によって差別してはならない。
(3) 両議院の議員は、法律の定める年齢に達して以降の最初の任期を以て退職となる。
議員定年制を設け、政治がいたずらに高年齢化することを抑止する。 第44条〔議員及び選挙人の資格〕
両議院の議員及びその選挙人の資格は、法律でこれを定める。但し、人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産又は収入によつて差別してはならない。
第70条〔国政選挙の有効数と再選挙〕
(1)法律の定めるところにより、衆議院の総選挙及び参議院の参与議員の選挙において、選挙区の投票総数が選挙人総数の過半数を下回った場合、当該選挙区においては10日以内に再選挙を行い、その結果を当該選挙区の国民の総意としなければならない。
(2)前項で規定する再選挙の投票総数が最初の選挙の投票総数を下回った場合は、最初の選挙の結果を、その選挙区の国民の総意と見做す。
投票率の低下に歯止めを掛ける規定。 (新設)
第71条〔衆議院議員の任期〕
衆議院の議員の任期は、4年とする。但し、衆議院解散の場合には、その期間満了前に終了する。
第45条〔衆議院議員の任期〕
衆議院議員の任期は、4年とする。但し、衆議院解散の場合には、その期間満了前に終了する。
第72条〔参議院議員の任期〕
(1)参議院の参与議員の任期は、8年とする。
(2)参議院の地方代表議員は、その兼務する広域的自治体の長を担う期間を任期とする。
参議院の任期を延長することで、政局に依らない審議を期待する。 第46条〔参議院議員の任期〕
参議院議員の任期は、6年とし、3年ごとに議員の半数を改選する。
第73条〔選挙に関する事項の法定〕
選挙区、投票の方法その他両議院の議員の選挙に関する事項は、法律で定める。
第47条〔選挙に関する事項の法定〕
選挙区、投票の方法その他両議院の議員の選挙に関する事項は、法律でこれを定める。
第74条〔選挙制度の本質的平等〕
衆議院の議員及び参議院の参与議員の選挙において、国は、その制度を、選挙人の各票の本質的平等に立脚して定めなければならない。これに反する制度において選出された議員の全部 又は一部は、議員としての権能を有しない。
いわゆる「1票の格差」を禁止した規定。これに反する選挙は無効であることを明確にした。 (新設)
第75条〔同一地域における連続立候補の制限〕
両議院の議員及びその3親等以内の親族は、法律の定めるところにより、16年を超えて同一の地域を含む選挙区から続けて選挙されることを認めない。
世襲議員が地盤・看板を受け継いで選挙されにくくする規定を憲法レベルで規定した。

国会議員の地元への利益誘導も大きく縮減され、政治の活性化のためには必須の項目であると思われる。

(新設)
第76条〔本名による選挙、個人名投票の原則〕
両議院の議員は、戸籍上の本名によって選挙されなければならない。
選挙とは本来、有権者が信託する候補者個人を選択するものであるとの認識に立ち、「個人名で投票する」ことを原則とした。すなわち、政党名による選挙はこの条文によって行えないことになる。

さらに、「戸籍上の本名」という縛りを加えることで、通名やニックネームでの立候補もできなくなるから、有権者にとっては候補者の出自を考えて投票しやすくなる。

(新設)
第77条〔重複立候補の禁止〕
両議院の議員の選挙において、一名が複数の選挙区に又がり重複して選挙に附されることを禁ずる。
選挙は一人一票が原則とあれば、候補者も一人1回のチャンスでなければおかしい。憲法レベルで重複立候補を禁止することは当然である。 (新設)
第78条〔復活当選の禁止〕
両議院の議員の選挙に附され、選挙人によりその選出が否とされた者は、以降の選挙に附されない限りは、再び当該の議員となることができない。
一度有権者から「NO」を突き附けられたにもかかわらず、同一選挙の中で復活して当選する制度には矛盾がある。前条項目と合わせ、「復活当選」を憲法レベルで禁止 した。 (新設)
第79条〔議員欠缺のときの補欠選挙〕
(1)衆議院の議員又は参議院の参与議員がその任期中に欠けたときは、法律の定めるところにより、当該の選挙区において補欠の選挙を行う。
(2)前項で定める補欠の選挙は、当該の議員の欠缺から30日以内に行うことを必要とする。
(3)当該の議員が欠けた日より起算して、衆議院の議員又は参議院の参与議員の任期満了まで180日に満たない場合は、前々項で定める補欠の選挙は行わない。
議員が欠けたときの規定を新設した。任期が6か月を切った時は、その議席は空席扱いとなる(選挙費用の無駄を防ぐための措置)。 (新設)
第80条〔両院議員兼職の禁止、その他の兼職規定〕
(1)何人も、同時に両議院の議員たることはできない。
(2)両議院の議員は、国務大臣を除く公務員のほか、この憲法第7章で定める裁判所の裁判官となることができない。
第48条〔両院議員兼職の禁止〕
何人も、同時に両議院の議員たることはできない。
第81条〔議員の歳費〕
両議院の議員は、法律の定めるところにより、国庫から相当額の歳費を受ける。
第49条〔議員の歳費〕
両議院の議員は、法律の定めるところにより、国庫から相当額の歳費を受ける。
第82条〔議員の不逮捕特権〕
両議院の議員は、法律の定める場合を除いては、国会の会期中逮捕されない。会期前に逮捕された議員は、その議院の要求があれば、会期中は釈放しなければならない。
第50条〔議員の不逮捕特権〕
両議院の議員は、法律の定める場合を除いては、国会の会期中逮捕されず、会期前に逮捕された議員は、その議院の要求があれば、会期中これを釈放しなければならない。
第83条〔議員の免責特権〕
両議院の議員は、議院で行った演説、討論又は表決について、院外で責任を問われない。
第51条〔議員の免責特権〕
両議院の議員は、議院で行つた演説、討論又は表決について、院外で責任を問はれない。
第84条〔常会〕
国会の常会は、毎年1回召集される。
第52条〔常会〕
国会の常会は、毎年1回これを召集する。
第85条〔臨時会〕
内閣は、国会の臨時会の召集を決定することができる。いずれかの議院の総議員の4分の1以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない。
第53条〔臨時会〕
内閣は、国会の臨時会の召集を決定することができる。いづれかの議院の総議員の4分の1以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない。
第86条〔衆議院の解散と特別会、参議院の緊急集会〕
(1)衆議院が解散されたときは、解散の日から30日以内に、衆議院議員の総選挙を行い、その選挙の日から20日以内に、国会を召集しなければならない。
(2)衆議院が解散されたときは、参議院は、同時に閉会となる。但し、内閣は、国に緊急の必要があるときは、参議院の緊急集会を求めることができる。
(3)前項但し書きの緊急集会において採られた措置は、臨時のものであって、次の国会開会の後10日以内に、衆議院の同意がない場合には、その効力の一切を失う。
衆議院解散後の諸手続きを10日間早めた。 第54条〔衆議院の解散と特別会、参議院の緊急集会〕
(1)衆議院が解散されたときは、解散の日から40日以内に、衆議院議員の総選挙を行ひ、その選挙の日から30日以内に、国会を召集しなければならない。
(2)衆議院が解散されたときは、参議院は、同時に閉会となる。但し、内閣は、国に緊急の必要があるときは、参議院の緊急集会を求めることができる。
(3)前項但書の緊急集会において採られた措置は、臨時のものであつて、次の国会開会の後10日以内に、衆議院の同意がない場合には、その効力を失ふ。
第87条〔議員の資格審判〕
両議院は、各々構成する議員の資格に関する可否を審判することができる。但し、各々議員の議席を失わせるには、出席議員の3分の2以上の多数による議決を必要とする。
第55条〔議員の資格争訟〕
両議院は、各々その議員の資格に関する争訟を裁判する。但し、議員の議席を失はせるには、出席議員の3分の2以上の多数による議決を必要とする。
第88条〔内閣、内閣総理大臣の信任と不信任の審判〕
衆議院は、内閣の信任の可否を審判することができる。但し、信任を否とするには、衆議院の総議員の過半数による議決を必要とする。

内閣不信任決議の規定を「国会」の章においても規定した。

(新設)
第89条〔定足数、表決数〕
(1)両議院は、各々その総議員の3分の1以上の出席がなければ、議事を開き議決することができない。
(2)両議院の議事は、この憲法に特別の定めのある場合を除いては、出席議員の過半数でこれを決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。
第56条〔定足数、表決数〕
(1)両議院は、各々その総議員の3分の1以上の出席がなければ、議事を開き議決することができない。
(2)両議院の議事は、この憲法に特別の定のある場合を除いては、出席議員の過半数でこれを決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。
第90条〔会議の公開、会議録の公表、表決の記載〕
(1)両議院の会議は、公開を原則とする。但し、出席議員の3分の2以上の多数で議決したときは、秘密会を開くことができる。
(2)両議院は、各々その会議の記録を保存し、秘密会の記録の中で特に秘密を要すると認められるもの以外は、これを公表し、且つ一般に頒布しなければならない。
(3)出席議員の5分の1以上の要求があれば、各議員の表決は、会議録に記載しなければならない。
第57条〔会議の公開、会議録の公表、表決の記載〕
(1)両議院の会議は、公開とする。但し、出席議員の3分の2以上の多数で議決したときは、秘密会を開くことができる。
(2)両議院は、各々その会議の記録を保存し、秘密会の記録の中で特に秘密を要すると認められるもの以外は、これを公表し、且つ一般に頒布しなければならない。
(3)出席議員の5分の1以上の要求があれば、各議員の表決は、これを会議録に記載しなければならない。
第91条〔役員の選任・議院規則・懲罰〕
(1)両議院は、各々その議長その他の役員を選任する。
(2)両議院は、各々その会議その他の手続及び内部の規律に関する規則を定め、又、院内の秩序をみだした議員を懲罰することができる。 但し、各々議員を除名するには、出席議員の3分の2以上の多数による議決を必要とする。
第58条〔役員の選任・議院規則・懲罰〕
(1)両議院は、各々その議長その他の役員を選任する。
(2)両議院は、各々その会議その他の手続及び内部の規律に関する規則を定め、又、院内の秩序をみだした議員を懲罰することができる。但し、議員を除名するには、出席議員の3分の2以上の多数による議決を必要とする。
第92条〔法律の制定、衆議院の優越〕
(1)法律案は、この憲法に特別の定めのある場合を除いては、両議院で可決したとき法律となる。
(2)法律案は、内閣及び両議院の議員が、衆議院又は参議院に提出する。
(3)衆議院で可決し、参議院でこれと異なった議決をした法律案は、衆議院で出席議員の3分の2以上の多数で再び可決したときは、法律となる。
(4)衆議院は、法律案その他の議決において、参議院とその意見を異にする場合は、参議院に対し、法律の定めるところにより、両議院の協議会を開き、意見の調整を求めることができる。
(5)参議院が、衆議院の可決した法律案を受け取った後、国会休会中の期間を除いて30日以内に議決しないときは、衆議院は、参議院がその法律案を否決したものとみなすことができる。
第4項の規定を20日間早めることで、より迅速な政策審議を要求した。 第59条〔法律の制定、衆議院の優越〕
(1)法律案は、この憲法に特別の定のある場合を除いては、両議院で可決したとき法律となる。
(2)衆議院で可決し、参議院でこれと異なつた議決をした法律案は、衆議院で出席議員の3分の2以上の多数で再び可決したときは、法律となる。
(3)前項の規定は、法律の定めるところにより、衆議院が、両議院の協議会を開くことを求めることを妨げない。
(4)参議院が、衆議院の可決した法律案を受け取つた後、国会休会中の期間を除いて60日以内に、議決しないときは、衆議院は、参議院がその法律案を否決したものとみなすことができる。
第93条〔議案の決議、衆議院の優越〕
国会は、法律案及び予算の議決の外に、国民の総意として、法律に準じるその他の議案を決議できる。議案の決議に必要な国会の承認については、 この憲法に特別の定めのある場合を除いては、前条各項の規定を準用する。
国会は自由に決議を行うことができ、その決議内容が法律に準じるものとする規定を特に置くことで、立法府としての国会の地位を規定した。 (新設)
第94条〔衆議院の予算先議と優越〕
(1)内閣は、予算案を、さきに衆議院に提出しなければならない。
(2)予算案について、参議院で衆議院と異なった議決をした場合に、前々条第4項で定める両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、又は、参議院が、衆議院の可決した予算を受け取った後、国会休会中の期間を除いて20日以内に議決しないときは、衆議院の議決を国会の議決とする。
第60条〔衆議院の予算先議と優越〕
(1)予算は、さきに衆議院に提出しなければならない。
(2)予算について、参議院で衆議院と異なつた議決をした場合に、法律の定めるところにより、両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、又は参議院が、衆議院の可決した予算を受け取つた後、国会休会中の期間を除いて30日以内に、議決しないときは、衆議院の議決を国会の議決とする。
第95条〔条約の承認と衆議院の優越〕
(1)内閣は、条約の締結について、さきに衆議院に発議しなければならない。
(2)条約の締結に必要な国会の承認については、前条第2項の規定を準用する。
条約においても衆議院の先議権を認めた。 第61条〔条約の承認と衆議院の優越〕
条約の締結に必要な国会の承認については、前条第2項の規定を準用する。
第96条〔議院の国政調査権〕
両議院は、法律の定めるところにより、各々国政全般に関する調査を行い、これに関して、何人に対しても、証人の出頭及び証言並びに記録の提出を要求することができる。
第62条〔議院の国政調査権〕
両議院は、各々国政に関する調査を行ひ、これに関して、証人の出頭及び証言並びに記録の提出を要求することができる。
第97条〔国務大臣の議院出席の権理・義務〕
内閣総理大臣その他の国務大臣は、国会に議席を有すると有しないとにかかわらず、何時でも議案について発言するため両議院の開く議会その他の審議に出席することができる。 但し、答弁又は説明のために 、議員から出席を求められたときは、法律の定めるところにより、当該の審議に出席しなければならない。
第63条〔国務大臣の議院出席の権利・義務〕
内閣総理大臣その他の国務大臣は、両議院の一に議席を有すると有しないとにかかはらず、何時でも議案について発言するため議院に出席することができる。又、答弁又は説明のため出席を求められたときは、出席しなければならない。
第98条〔公共集団としての政党、政党政治制度の整備〕
(1)政党は、意見を一にする特定の国民の意思を集合する組織であり、国会その他国政及び地方自治体の意思決定における基盤としての役割を担う、公共の政治集団である。
(2)国は、法律に基づき、国会議員及び地方議会の議員が所属する政党の、自由な政治活動を保証し、その活動に必要な制度及び環境を整備する。
(3)何人も、政党に参加すること、若しくは参加しないことを強制されない。

政党が公共の結社であることを明記し、国がその活動を保証することを示す一方で、政党にも公党としての自覚を促す規定とした。

第3項は、翼賛体制により政党政治が停滞することを防ぐ項目である。

(新設)
第99条〔政党の設立と活動の法定、政党の内部統制〕
(1)政党の設立と活動の要件は、法律の定めるところによる。
(2)すべての政党は、自らが定める民主的な手段によって、その内部を統制することを必要とする。

政党の活動に法的な裏附けをすることとした。

第2項は、表向きには「政党の党首は民主的に選べ」と言っているのだが、実質的には「独裁的な主張を綱領に掲げる政党は認めない」ということを言っている。

(新設)
第100条〔政党の情報開示義務〕
政党は、法律の定めるところにより、国民からの要求があった時は、活動の方針や内容、財政その他の情報をあまねく開示しなければならない。

政党には公党として、情報の公開をする義務を課した。

(新設)
第101条〔弾劾裁判所〕
(1)国会は、罷免の訴追を受けた裁判官を裁判するため、両議院の議員で組織する弾劾裁判所を設ける。
(2)弾劾に関する事項は、法律で定める。
第64条〔弾劾裁判所〕
(1)国会は、罷免の訴追を受けた裁判官を裁判するため、両議院の議員で組織する弾劾裁判所を設ける。
(2)弾劾に関する事項は、法律でこれを定める。

第6章 内閣

  第5章 内閣
第102条〔行政権と内閣〕
国の行政権は、内閣に属する。
地方の行政権は、地方に属することを示した。 第65条〔行政権と内閣〕
行政権は、内閣に属する。
第103条〔内閣の組織、資格、連帯責任〕
(1)内閣は、法律の定めるところにより、その長たる内閣総理大臣及びその他の国務大臣で組織する。
(2)内閣総理大臣その他の国務大臣は、国民且つ文民でなければならない。
(3)内閣は、行政権の行使について、国会及び日本国民に対し連帯して責任を負う。
内閣の責任範囲を国会のみならず、国民全体に拡大した。 第66条〔内閣の組織、文民資格、連帯責任〕
(1)内閣は、法律の定めるところにより、その首長たる内閣総理大臣及びその他の国務大臣でこれを組織する。
(2)内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない。
(3)内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負ふ。
第104条〔国務大臣の兼職禁止〕
すべての国務大臣は、同時に国会の議長及び裁判所の裁判官たることはできない。
兼職禁止規定を新設。 (新設)
第105条〔内閣総理大臣の指名、衆議院の優越〕
(1)内閣総理大臣は、衆議院の議員の中から国会の議決で指名する。この指名は、他のすべての案件に先だって行う。
(2)衆議院と参議院とが異なった指名の議決をした場合に、第92条第4項で定める、両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、又は衆議院が指名の議決をした後、国会休会中の期間を除いて7日以内に参議院 により指名の議決がなされないときは、衆議院の議決を国会の議決とする。
第67条〔内閣総理大臣の指名、衆議院の優越〕
(1)内閣総理大臣は、国会議員の中から国会の議決で、これを指名する。この指名は、他のすべての案件に先だつて、これを行ふ。
(2)衆議院と参議院とが異なつた指名の議決をした場合に、法律の定めるところにより、両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、又は衆議院が指名の議決をした後、国会休会中の期間を除いて10日以内に、参議院が、指名の議決をしないときは、衆議院の議決を国会の議決とする。
第106条〔国務大臣の任命、罷免、総辞職〕
(1)内閣総理大臣は、国務大臣を任命する。但し、その過半数は、国会議員の中から選ばれなければならない。
(2)内閣総理大臣は、任意に国務大臣を罷免することができる。
(3)内閣総理大臣は、任意に内閣を総辞職することができる。
内閣総辞職を総理大臣の専権事項として明記した。 第68条〔国務大臣の任命、罷免〕
(1)内閣総理大臣は、国務大臣を任命する。但し、その過半数は、国会議員の中から選ばれなければならない。
(2)内閣総理大臣は、任意に国務大臣を罷免することができる。
第107条〔内閣総理大臣の任意による衆議院解散権〕
内閣総理大臣は、任意に衆議院の解散を決定し、天皇に奏上することができる。
衆議院の解散権を総理大臣の専権事項として新設した。 (新設)
第108条〔内閣不信任決議による解散又は総辞職〕
内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、10日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない。
第69条〔内閣不信任決議と解散又は総辞職〕
内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、10日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない。
第109条〔総理の欠缺又は総選挙と内閣の総辞職〕
内閣総理大臣が欠けたとき、又は衆議院議員総選挙の後に初めて国会の召集があったときは、内閣は、総辞職をしなければならない。
第70条〔総理の欠缺又は総選挙と内閣の総辞職〕
内閣総理大臣が欠けたとき、又は衆議院議員総選挙の後に初めて国会の召集があつたときは、内閣は、総辞職をしなければならない。
第110条〔総辞職後の内閣による職務執行〕
第106条、第108条及び第109条の場合において、内閣が総辞職した時、内閣は、あらたに内閣総理大臣が任命されるまで引き続きその職務を行う。
第71条〔総辞職後の内閣による職務執行〕
前2条の場合には、内閣は、あらたに内閣総理大臣が任命されるまで引き続きその職務を行ふ。
第111条〔総理の欠缺時に備えた代行の規定〕
(1)内閣総理大臣が欠けたときは、予め内閣総理大臣から指定を受けた、国務大臣が、臨時の内閣総理大臣としてその職務を代行する。
(2)前項における臨時の内閣総理大臣は、国会議員でなければならない。
(3)臨時の内閣総理大臣たる要件及び指名順位並びに代行の内容は、法律で定める。
総理の欠缺時の代行規定を新設した。 (新設)
第112条〔内閣総理大臣の職権〕
内閣総理大臣は、内閣を代表して議案を国会に提出し、一般国務及び外交関係について国会に報告するとともに、行政各部を指揮監督する。
第72条〔内閣総理大臣の職権〕
内閣総理大臣は、内閣を代表して議案を国会に提出し、一般国務及び外交関係について国会に報告し、並びに行政各部を指揮監督する。
第113条〔内閣の職権〕
内閣は、一般行政事務の外、国益に則り、国家及び国民の繁栄のために、左の事務を行う。
1 法律を誠実に執行し、国務を総理すること。
2 外交関係を処理すること。
3 条約を締結すること。但し、事前に、時宜によっては事後に、国会の承認を経ることを必要とする。
4 法律の定めるところにより、官吏に関する事務を掌理すること。
5 予算案を作成して国会に提出すること。
6 この憲法及び法律の規定を実施するために、政令を制定すること。但し、政令には、特にその法律の委任がある場合を除いては、罰則を設けることができない。
7 最高裁判所の長たる裁判官を指名し、それ以外の裁判官を任命すること。
8  叙勲、褒章、その他の栄典の授与を決定し、天皇に奏上すること。
9 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を決定し、天皇に奏上すること。
第73条〔内閣の職権〕
内閣は、他の一般行政事務の外、左の事務を行ふ。
1 法律を誠実に執行し、国務を総理すること。
2 外交関係を処理すること。
3 条約を締結すること。但し、事前に、時宜によつては事後に、国会の承認を経ることを必要とする。
4 法律の定める基準に従ひ、官吏に関する事務を掌理すること。5 予算を作成して国会に提出すること。
6 この憲法及び法律の規定を実施するために、政令を制定すること。但し、政令には、特にその法律の委任がある場合を除いては、罰則を設けることができない。
7 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を決定すること。
第114条〔法律・政令の署名・連署〕
法律及び政令には、すべて主任の国務大臣が署名し、内閣総理大臣が連署することを必要とする。
第74条〔法律・政令の署名・連署〕
法律及び政令には、すべて主任の国務大臣が署名し、内閣総理大臣が連署することを必要とする。
第115条〔国務大臣の訴追〕
国務大臣は、その在任中、内閣総理大臣の同意がなければ、訴追されない。但し、これが為、裁判の権理は、害されない。
第75条〔国務大臣の訴追〕
国務大臣は、その在任中、内閣総理大臣の同意がなければ、訴追されない。但し、これがため、訴追の権利は、害されない。

第7章 司法

  第6章 司法
第116条〔司法権・裁判所、特別裁判所の禁止〕
(1)すべて司法権は、最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する。
(2)特別裁判所は、この憲法に特別の定めのある場合を除いては、設置することができない。行政機関は、終審として裁判を行うことができない。
 
兼職禁止規定を追記した。 第76条〔司法権・裁判所、特別裁判所の禁止、裁判官の独立〕
(1)すべて司法権は、最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する。
(2)特別裁判所は、これを設置することができない。行政機関は、終審として裁判を行ふことができない。
 
第117条〔裁判官の独立と兼職禁止〕
(1)すべての裁判官は、その良心に従い独立してその職権を行使し、この憲法及び法律にのみ拘束される。
(2)前項の目的を達するため、すべての裁判官は、国会議員、国務大臣、その他の公務員を兼ねることを認めない。
  第76条の(3)すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される。
第118条〔最高裁判所の規則制定権〕
(1)最高裁判所は、訴訟に関する手続、弁護士、裁判所の内部規律及び司法事務処理に関する事項について、規則を定める権限を有する。
(2)検察官及び法律で定める司法官吏は、最高裁判所の定める規則に従わなければならない。
(3)最高裁判所は、下級裁判所に関する規則を定める権限を、下級裁判所に委任することができる。
第77条〔最高裁判所の規則制定権〕
(1)最高裁判所は、訴訟に関する手続、弁護士、裁判所の内部規律及び司法事務処理に関する事項について、規則を定める権限を有する。
(2)検察官は、最高裁判所の定める規則に従はなければならない。
(3)最高裁判所は、下級裁判所に関する規則を定める権限を、下級裁判所に委任することができる。
第119条〔裁判官の身分保障〕
裁判官は、裁判により、心身の故障のために職務を執ることができないと決定された場合を除いては、公の弾劾によらなければ罷免されない。裁判官の懲戒処分は、 内閣その他の行政機関が行ってはならない。
第78条〔裁判官の身分保障〕
裁判官は、裁判により、心身の故障のために職務を執ることができないと決定された場合を除いては、公の弾劾によらなければ罷免されない。裁判官の懲戒処分は、行政機関がこれを行ふことはできない。
第120条〔最高裁判所の構成、定年〕
(1)最高裁判所は、その長たる裁判官及び法律の定めるその他の裁判官で構成する。
(2)最高裁判所の長たる裁判官は、内閣が指名する。長たる裁判官以外の最高裁判所の裁判官は、国会の指名に基づいて、内閣が任命する。
(3)最高裁判所の裁判官は、任期を10年とし、その再任を妨げない。但し、法律の定める年齢に達した時に退官する。
第79条〔最高裁判所の構成、国民審査、定年、報酬〕
(1)最高裁判所は、その長たる裁判官及び法律の定める員数のその他の裁判官でこれを構成し、その長たる裁判官以外の裁判官は、内閣でこれを任命する。
(5)最高裁判所の裁判官は、法律の定める年齢に達した時に退官する。
 
第121条〔最高裁判所の長たる裁判官以外の裁判官の指名手続〕
国会は、法律の定めるところにより、内閣の発議に基づいて、最高裁判所の長たる裁判官以外の最高裁判所の裁判官を指名する。その決議については、第92条各項の規定を準用する。
最高裁判所長官以外の最高裁判所裁判官は、国会が指名し、内閣が任命することとした。 (新設)
第122条〔最高裁判所裁判官の報酬の三権対等〕
(1)最高裁判所の裁判官は、すべて定期に相当額の報酬を受ける。この報酬は、在任中、減額することができない。
(2)最高裁判所の長たる裁判官の報酬は、内閣総理大臣ならびに国会の両議院の議長の報酬と同等のものでなければならない。
三権分立を具現化するものとして、最高裁判所長官と内閣総理大臣、国会両議院の議長の報酬を同額とする規定を憲法上で明文化した。 第79条の(6)最高裁判所の裁判官は、すべて定期に相当額の報酬を受ける。この報酬は、在任中、これを減額することができない。
第123条〔最高裁判所裁判官の国民審査〕
(1)最高裁判所の裁判官は、衆議院議員総選挙の際、国民の審査に附す。
(2)国民の審査に附される裁判官は、国民に対し、自らの判決の履歴について、十分な告知をし、国民の判断に供しなければならない。
(3)国民の審査において、有効投票の過半数が当該の裁判官の継続を可としないとき、その裁判官は、罷免される。
(4)審査に関する事項は、法律で定める。
最高裁判所裁判官は、各回の衆議院議員総選挙において、審査に附されることとした。又裁判官は、その判決の履歴を国民に公表する義務を負うこととした。
罷免の条件を、「投票者の多数が裁判官の罷免を可とするとき」(×を書く方式)から「有効投票の過半数が当該の裁判官の継続を可としないとき」(○を書かなければ×となる方式)に変更することで、司法に緊張感を与える制度に変更した。
第79条の(2)最高裁判所の裁判官の任命は、その任命後初めて行はれる衆議院議員総選挙の際国民の審査に附し、その後10年を経過した後初めて行はれる衆議院議員総選挙の際更に審査に 附し、その後も同様とする。
(3)前項の場合において、投票者の多数が裁判官の罷免を可とするときは、その裁判官は、罷免される。
(4)審査に関する事項は、法律でこれを定める。
第124条〔下級裁判所の裁判官、任期、定年、報酬〕
(1)下級裁判所の裁判官は、最高裁判所の指名した者の名簿によって、内閣が任命する。その裁判官は、任期を10年とし、その再任を妨げない。但し、法律の定める年齢に達した時に は退官する。
(2)下級裁判所の裁判官は、すべて定期に相当額の報酬を受ける。この報酬は、在任中、減額することができない。
第80条〔下級裁判所の裁判官、任期、定年、報酬〕
(1)下級裁判所の裁判官は、最高裁判所の指名した者の名簿によつて、内閣でこれを任命する。その裁判官は、任期を10年とし、再任されることができる。但し、法律の定める年齢に達した時には退官する。
(2)下級裁判所の裁判官は、すべて定期に相当額の報酬を受ける。この報酬は、在任中、これを減額することができない。
第125条〔最高裁判所の違憲立法審査権、終審裁判所〕
最高裁判所は、一切の条約、法律、命令、規則又は処分が、この憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する国の唯一の終審裁判所である。
第81条〔最高裁判所の違憲立法審査権、終審裁判所〕
最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である。
第126条〔最高裁判所の権限〕
最高裁判所は、法律の定めるところにより、次の権限を有する。
1 条約、法律、命令、規則又は処分について、内閣又は国会議員の3分の1以上の申し立てがあった場合に、それがこの憲法に適合するかしないかを審理すること。
2 具体的な訴訟事件において、下級裁判所が判断した事項について、それが憲法に適合するかしないかを、当事者の提訴を以て審理すること。
3 下級裁判所が判決した事項において、当事者による上訴に基づき、終審を行うこと、下級裁判所に差し戻すこと、若しくは審理を行わない判断をすること。
4 国の法令に関わる訴訟や、複数の広域自治体に関わる訴訟についての終審を行うこと。
5 具体的な訴えの有無に関わらず、条約、法律、命令、規則又は処分について、それがこの憲法に適合しない虞があるか否かを任意に調査し、その結果を内閣に勧告すること。
最高裁判所の権限を明記した。

特に、第5項で定める「違憲立法の虞の勧告」は、最高裁判所が職権を以て独自に違憲立法を調査することができるものである。最高裁判所に、これまでの消極的違憲審査だけの立場から、積極的違憲審査に近い行動を促すことで、三権の間に緊張感を与える制度設計とした。

(新設)
第127条〔違憲立法の虞の勧告の効果〕
(1)前条第5項において、最高裁判所により、条約、法律、命令、規則又は処分が、この憲法に適合しない虞があるものと勧告された場合、内閣は、法律の定めるところにより、当該の条約、法律、命令、規則又は処分 の全部又は一部を、直ちに国会の審議に附すか、若しくは最高裁判所にかかる勧告の取り下げを提訴しなければならない。
(2)前項において、内閣が、最高裁判所にかかる勧告の取り下げを提訴したとき、最高裁判所は、その最初の裁判を下級裁判所に移管することができる。
「違憲立法の虞の勧告」は、その影響を鑑みて直ちに法的効力はないものとしたが、勧告を受けた内閣及び国会に対して、直ちに対応しなければならない程度の緊張感は与えられる制度とした。

第2項において、最高裁判所が勧告したものを内閣が提訴できる制度も追加したが、最高裁判所がいきなり判断を示すと社会的影響が甚大な事案となることが想定される場合は、最高裁判所の判断で、その最初の裁判を下級審に委ねることも可能とした。すなわち、違憲勧告については、政府による控訴・上告の可能性を残したことになる。国会の立法権を最大限に尊重した規定である。

(新設)
第128条〔最高裁判所の判決の効力〕
最高裁判所が、審理において、条約、法律、命令、規則又は処分について、憲法に適合しないと決定した場合には、その判決は、法律で定める場合を除き、それ以降、 直ちにあらゆる国及びその他の公共団体の行為を拘束する。
最高裁の判例に法的効力を認める条文である。ただし法律のほうが強い、として、国会の立法権とのバランスを取っている。 (新設)
第129条〔裁判の公開〕
(1)裁判の対審及び判決は、公開の法廷で行うことを原則とする。
(2)裁判所が、当該事件を担当する裁判官 の全員一致で、公の秩序又は善良の風俗を害する虞があると決した場合には、その対審は、その旨を予め公表したうえで、公開しないで行うことができる。但し、政治犯罪、出版に関する犯罪 及びこの憲法第4章で保障する国民の権理が問題となっている事件の対審は、常に公開することを必要とする。
第82条〔裁判の公開〕
(1)裁判の対審及び判決は、公開法廷でこれを行ふ。
(2)裁判所が、裁判官の全員一致で、公の秩序又は善良の風俗を害する虞があると決した場合には、対審は、公開しないでこれを行ふことができる。但し、政治犯罪、出版に関する犯罪又はこの憲法第3章で保障する国民の権利が問題となつてゐる事件の対審は、常にこれを公開しなければならない。
第130条〔司法参加の権理〕
すべての国民は、国の司法の手続きに参加し、意見を表明する権理を妨げられない。
国民の司法参加を権理として明記した。 (新設)
第131条〔裁判員制度〕
法律の定めるところにより、社会の秩序及び国民生活の安寧に重大な影響を及ぼす刑事事件若しくは民事事件が、第一審の下級裁判所において審理される場合、その審理には、裁判員を置かなければならない。
裁判員制度を憲法で追認。重大な刑事・民事事件への国民の参加を規定した。 (新設)
第132条〔裁判員の要件〕
(1)裁判所は、法律の定めるところにより、日本国内に居住する成年の国民の中から、裁判員の候補を公正に抽選する 。その選出に当たっては、居住地域、人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産又は収入によって差別してはならない。
(2)裁判員の候補として選出された国民は、法律の定めるところにより、当該の裁判を担当する裁判所の長によって審査される。
但し、国民は、その信条により、審査されない権理を保障される。
(3)当該の裁判を担当する裁判所の長は、前項によって審査された国民のうち、当該の裁判に適当とされた者を、裁判員として任命する。
(4)すべての国会議員、国務大臣、裁判官並びに有権者としての資格のない者は、裁判員の候補となれない。又、裁判員を経た者は、その裁判が結審若しくは中止となってから10年を経過するまでは、再び裁判員の候補となることができない。
裁判員の要件に、「審査されない権理」を盛り込んだ。 (新設)
第133条〔裁判員の権限〕
(1)裁判員は、裁判官と合議し、審理の評決を行う。
(2)裁判員は、刑事事件においては有罪若しくは無罪を評決し、有罪にあってはその量刑も評決する。又、民事事件においては適当な措置を評決するものとする。
裁判員は評決を行うが、裁判官の判決とは異なる。 (新設)
第134条〔裁判官による裁判員評決の尊重〕
裁判員と合議した裁判官は、裁判員の評決を最大限尊重し、第一審の判決を行わなければならない。
  (新設)
第135条〔裁判員の報酬〕
国は、法律の定めるところにより、裁判員に、裁判の期間中、相当額の報酬を支払う。この報酬は、当該の裁判が結審若しくは中止となるまで、減額してはならない。
  (新設)
第136条〔裁判員の独立、機密保持義務、免責事項〕
(1)裁判員は、その良心に従い、独立して評決を行う。裁判員のすべての行為は、この憲法及び法律のみに拘束される。
(2)裁判員は、法律の定めるところにより、裁判上で知り得た機密の事項を第三者に漏洩してはならない。
(3)裁判員の評決は、公的にも私的にも、一切の責任を問われない。
(新設) 
第137条〔裁判員に対する安全保障〕
国は、裁判員を担当した国民の秘密と、身上の安全確保に努めなければならない。
国が裁判員の安全を保護する義務を負うことを明記した。 (新設)

第8章 財政

  第7章 財政
第138条〔財政処理の基本原則〕
国の財政は、国会の議決に基づいて、内閣が、すべての権限を行使する。
  第83条〔財政処理の基本原則〕
国の財政を処理する権限は、国会の議決に基いて、これを行使しなければならない。
第139条〔租税法律主義〕
あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、すべて法律又は法律の定める条件によることを必要とする。
租税は「例外なく」法律によって課されることを明記した。 第84条〔租税法律主義〕
あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする。
第140条〔国費の支出及び国の債務負担〕
国費を支出し、又は国が債務を負担するには、国会の議決に基づくことを必要とする。
第85条〔国費の支出及び国の債務負担〕
国費を支出し、又は国が債務を負担するには、国会の議決に基くことを必要とする。
第141条〔予算の作成と議決〕
内閣は、毎会計年度の予算を作成し、国会に提出して、その審議を受け議決を経なければならない。
第86条〔予算の作成と議決〕
内閣は、毎会計年度の予算を作成し、国会に提出して、その審議を受け議決を経なければならない。
第142条〔財政収支の健全化努力規定〕
国及び地方公共団体は、その財政収支を均衡させるよう、最大限努力しなければならない。
財政収支均衡化の努力規定を憲法に明記した。 (新設)
第143条〔予備費〕
(1)予見し難い予算の不足に充てるため、国会の議決に基づいて予備費を設け、内閣の責任で支出することができる。
(2)予備費の支出について、内閣は、事前又は事後に、例外なく、国会の承諾を得なければならない。
第87条〔予備費〕
(1)予見し難い予算の不足に充てるため、国会の議決に基いて予備費を設け、内閣の責任でこれを支出することができる。
(2)すべて予備費の支出については、内閣は、事後に国会の承諾を得なければならない。
第144条〔皇室財産・皇室費用〕
皇室財産は、すべて国に属する。皇室の費用は、皇室予算として、国会の議決を経なければならない。
皇室費用は「国家予算」と別の「皇室予算」として議決するよう制度を変更した。 第88条〔皇室財産・皇室費用〕
すべて皇室財産は、国に属する。すべて皇室の費用は、予算に計上して国会の議決を経なければならない。
第145条〔公の財産の支出・利用提供の制限〕
公金その他の公の財産は、日本民族の歴史や伝統、慣習に依るものを除き、次の目的のために支出し、又はその利用に供してはならない。
1 特定の宗教上の集団、組織その他の団体の使用、便益若しくは維持のため。
2 公の支配に属しない慈善、文化、教育若しくは博愛の事業に対し、国が支配又は影響力を与える目的のため。
第89条〔公の財産の支出・利用提供の制限〕
公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のため、又は公の支配に属しない慈善、教育若しくは博愛の事業に対し、これを支出し、又はその利用に供してはならない。
第146条〔決算審査、会計検査院〕
(1)国の収入支出の決算は、その内容の適切性を、他の機関から独立した会計検査院が、毎年例外なく検査する。
(2)内閣は、次の年度に、決算を、前項に定める検査報告を附して国会に提出しなければならない。
(2)会計検査院の組織及び権限は、法律で定める。
第90条〔決算審査、会計検査院〕
(1)国の収入支出の決算は、すべて毎年会計検査院がこれを検査し、内閣は、次の年度に、その検査報告とともに、これを国会に提出しなければならない。
(2)会計検査院の組織及び権限は、法律でこれを定める。
第147条〔内閣の財政状況報告〕
内閣は、国会及び国民に対し、定期に、少なくとも3か月に1回、国の財政状況について報告しなければならない。
内閣の財政状況報告の期間を規定上短縮化した。 第91条〔内閣の財政状況報告〕
内閣は、国会及び国民に対し、定期に、少くとも毎年1回、国の財政状況について報告しなければならない。

第9章 地方自治

  第8章 地方自治
第148条〔地方自治の基本原則〕
(1)地方自治は、その地方の住民の自主性に委ねられ、その執行は、地方の公共団体にかかる国民の総意に基づく。
(2)地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基づいて、法律で定める。
「地方自治の本旨」を明確化した。 第92条〔地方自治の基本原則〕
地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。
第149条〔基礎的自治体と広域的自治体〕
地方の行政は、法律に基づき、すべて基礎的な自治体が担う。但し、基礎的な自治体単独では執行を困難とする広域的な事項を補完及び調整する地方公共団体として、広域的自治体を置く。
基礎的な自治体=市区町村、広域自治体=都道府県。現状を追認。ただし、将来の制度設計の変更には含みを持たせている。 (新設)
第150条〔地方公共団体の自律と権能の範囲〕
(1)国及びその機関は、地方公共団体の自律性をみだりに侵してはならない。但し、国は外交、国防、財政、義務教育、社会保障その他の国務、及び国体並びに国民の生命、財産と安全を守るために必要な事項については、専権的な責務を負う 。
(2)地方公共団体は、前項但し書きに反する権能を有しない。
地方の自主権の尊重規定であるとともに、国の専権事項に地方が介入してはならないことも明記。 (新設)
第151条〔地方議会、長・議員等の直接選挙〕
(1)地方公共団体には、法律の定めるところにより、その地域における議事機関として、議会を設置する。
(2)地方公共団体の長、その議会の議員は、法律の定めるところにより、その地方公共団体に在住する国民が、国民の中から直接、選挙する。
  第93条〔地方議会、長・議員等の直接選挙〕
(1)地方公共団体には、法律の定めるところにより、その議事機関として議会を設置する。
(2)地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が、直接これを選挙する。
第152条〔地方議会の権能〕
(1)地方議会は、地方の住民の総意を集合する唯一の機関である。
(2)地方議会は、地方の住民を代表し、法律の定めるところにより、地方公共団体の予算案及び決算案、条例案並びに地域賦課金設定案、その他地域の課題を審議し、議決する。
地方議会の権能を明記した。 (新設)
第153条〔地方公共団体の権能、条例制定権、地域賦課金の設定権〕
(1)地方公共団体は、法律の定めるところにより、地域の行政を執行し、その財産を管理し、及び予算並びに決算の作成を行う権能を有する。
(2)地方公共団体は、法律の範囲内で、条例を制定及び改廃することができる。
(3)地方公共団体は、法律の定めるところにより、国の定める税法に相反しない限りにおいて、その地域にのみ有効な賦課金を設定並びに徴収する権能を有する。
地方公共団体の権能を記した条文であるが、特筆すべきは「地域賦課金の設定」である。

実質的に地方の「課税自主権」を謳ったものであるが、「税」の表記は避け、徴税は国の専権事項とし、新たに「地域賦課金」を新設したものである。

第94条〔地方公共団体の権能・条例制定権〕
地方公共団体は、その財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能を有し、法律の範囲内で条例を制定することができる。
第154条〔地方公共団体の長の権能〕
(1)地方公共団体の長は、当該地域の総意を代表し、その行政執行を指揮監督する。
(2)地方公共団体の長は、地方議会の議員となることができない。
市区町村長及び都道府県知事の権能を明文化したもの。 (新設)
第155条〔特別法の国民投票〕
(1)特定の地方公共団体のみに適用される特別法は、法律の定めるところにより、その地方公共団体に住む 国民の投票においてその過半数の同意を得ることを必要とする。
(2)前項の特別法が、当該の地方公共団体に住む国民の投票において否とされた場合、国会は、その法律が否決されたものとして取り扱う。
第95条〔特別法の住民投票〕
一の地方公共団体のみに適用される特別法は、法律の定めるところにより、その地方公共団体の住民の投票においてその過半数の同意を得なければ、国会は、これを制定することができない。

第10章 非常事態

非常事態下で超法規的措置が取られる危険性を回避し、法治国家としての国政を国が保証できる制度設計とした。 (新設)
第156条 〔非常事態の宣言〕
内閣総理大臣は、外部からの侵略、内乱、大規模災害その他法律で定める緊急事態が発生した場合において、国民の生命、財産及び安全を守るため、特に必要があると認めるときは、法律の定めるところにより、 国全体又は特定の地域において、非常事態を宣言することができる。
(新設)
第157条〔非常事態の宣言の手続き〕
(1) 前条で定める非常事態の宣言は、内閣総理大臣が、国務大臣全員の承認を得たうえで、国民に発布する。
(2) 前項で発された非常事態の宣言は、法律の定めるところにより、事前又は事後に国会の承認を得なければならない。但し、かかる国会の議決は、七日以内に行われることを必要とする。
(新設)
第158条〔非常事態の宣言の解除〕
内閣総理大臣は、法律の定めるところにより、次の場合において、前条に基づき発した非常事態の宣言を直ちに解除しなければならない。
1 非常事態の宣言を解除するに相当する事態の変化があったとき。
2 前条第1項の場合において、国会が非常事態の宣言の発布を否決するか、議決しないとき。
3 国会が非常事態の宣言の解除を議決したとき。
4 次条で定める非常事態の宣言の継続が認められないとき。
(新設)
第159条〔非常事態の宣言の継続〕
(1)非常事態の宣言を、九十日を超えて継続しようとする場合は、事前に国会の承認を経なければならない。但し、かかる国会の議決は、七日以内に行われることを必要とする。
(2)前項の場合において、非常事態の宣言を継続する場合は、以降九十日を超えるごとに、前項の手続きを行うことを必要とする。
非常事態宣言の継続に、国会の意思が反映される制度とした。 (新設)
第160条〔非常事態の宣言下における内閣の権限〕
(1) 非常事態の宣言が発せられたとき、内閣は、法律の定めるところにより、緊急の政令を制定することができる。この政令は、その宣言が効力を有する期間においてのみ有効とする。
(2) 非常事態の宣言が発せられたとき、内閣総理大臣は、法律の定めるところにより、財政上必要な支出や処分を行うことができる。この処置は、かかる宣言が効力を有する期間においてのみ有効とする。
(3) 非常事態の宣言が発せられたとき、内閣は、法律の定めるところにより、関係する地方公共団体の長に対し、必要な行動を命令することができる。この命令は、かかる宣言が効力を有する期間においてのみ有効とする。
非常事態下の内閣の指揮権を定めている。 (新設)
第161条〔非常事態の宣言下における緊急の政令の効力〕
前条第1項において定める緊急の政令は、かかる非常事態の宣言が効力を有する期間において、法律に準じて扱う。
  (新設)
第162条〔非常事態の宣言下における国会の役割〕
前々条において定められた緊急の政令の制定及び必要な処分については、法律の定めるところにより、すべて国会による事後の承認を必要とする。国会においてかかる政令や必要な処分が不適当と議決されたときは、その政令や処分は無効となる。
「全権委任」となることを防ぐために、内閣の権力を国会が監視する制度とした。 (新設)
第163条〔非常事態の宣言下における国民の保護と制限〕
何人も、緊急事態の宣言が発せられた場合は、法律の定めるところにより、その宣言が効力を有する期間において、国及び地方自治体の発する必要な指示に従わなければならない。但し、いかなる場合でも、第4章で保証する国民の権理については、最大限に尊重されることを必要とする。
(新設)
第164条〔非常事態の宣言下における選挙〕
非常事態の宣言が発せられた場合は、法律の定めるところにより、その宣言が効力を有する期間において、衆議院は解散されない。又、両議院の議員の任期及び選挙に関わる期日は停止される。
  (新設)

第11章 改正

  第9章 改正
第165条〔憲法改正の手続、その公布〕
(1)この憲法の改正は、各議院の総議員の過半数の賛成で、国会が発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行われる投票において、有効な投票の過半数の賛成を必要とする。
(2)憲法改正について前項の承認を経たとき、天皇は、直ちにこれを公布する。
憲法改正の条件を緩和し、硬性憲法であるが、時代の要請に応じてある程度は柔軟な変更が行えるように配慮した。 第96条〔憲法改正の手続、その公布〕
(1)この憲法の改正は、各議院の総議員の3分の2以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。
(2)憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する。
第166条〔憲法停止や廃止の禁止〕
この憲法は、前条の手続きによってもその効力自体を停止又は廃することはできない。
「憲法の停止又は廃止」を禁止した規定。権力者の暴走を防ぐ。 (新設)
第167条〔非常時の憲法改正禁止〕
第2章で定める国の交戦のとき並びに第10章で定める非常事態の宣言が効力を有する期間においては、この憲法の改正に関わる手続きは、その一切を無効とする。
こちらは混乱に乗じて憲法が改悪されることを防ぐ規定。 (新設)

第12章 最高法規

  第10章 最高法規
第168条〔基本的人権の保障〕
この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない恒久の権理として、現在及び将来の国民に対し、信託されたものである。
条文のシンプル化を図った。 第97条〔基本的人権の本質〕
この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試錬に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。
第169条〔憲法の最高法規性、国際法規の遵守〕
(1)この憲法は、国の最高法規であって、その条規に反する詔勅、法律、政令、命令、指示及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。
(2)日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守しなければならない。
第98条〔憲法の最高法規性、国際法規の遵守〕
(1)この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。
(2)日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。
第170条〔憲法尊重擁護義務〕
天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負う。但し、本規定によって、第36条 で定める思想の自由及び第39条で定める言論の自由は妨げられない。
憲法尊重擁護義務が、「論憲」を妨げるものではないことを定めた規定。 第99条〔憲法尊重擁護の義務〕
天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。

附章 補則

  第11章 補則
第171条〔施行期日、施行の準備〕
(1)この憲法は、公布の日から起算して6箇月を経過した日から、施行する。
(2)この憲法を施行するために必要な法律の制定、参議院の参与議員の選挙及び国会召集の手続並びにこの憲法を施行するために必要な準備手続の一切は、前項の期日よりも前に、行うことができる。
第100 条〔施行期日、施行の準備〕
(1)この憲法は、公布の日から起算して6箇月を経過した日から、これを施行する。
(2)この憲法を施行するために必要な法律の制定、参議院議員の選挙及び国会召集の手続並びにこの憲法を施行するために必要な準備手続は、前項の期日よりも前に、これを行ふことができる。
(削除) 第101 条〔経過規定(1)−参議院未成立の間の国会〕
この憲法施行の際、参議院がまだ成立してゐないときは、その成立するまでの間、衆議院は、国会としての権限を行ふ。
(削除) 第102 条〔経過規定(2)−第一期参議院議員の任期〕
この憲法による第一期の参議院議員のうち、その半数の者の任期は、これを3年とする。その議員は、法律の定めるところにより、これを定める。
第172条〔経過規定−憲法施行の際の公務員〕
この憲法施行の際現に在職する国務大臣、国会議員及び裁判官並びにその他の公務員で、その地位に相応する地位がこの憲法で認められている者は、法律で特別の定めをした場合を除いては、この憲法施行のため、当然にはその地位を失うことはない。但し、この憲法によって、後任者が選挙又は任命されたときは、当然その地位を失う。
 
第103 条〔経過規定(3)−憲法施行の際の公務員〕
この憲法施行の際現に在職する国務大臣、衆議院議員及び裁判官並びにその他の公務員で、その地位に相応する地位がこの憲法で認められてゐる者は、法律で特別の定をした場合を除いては、この憲法施行のため、当然にはその地位を失ふことはない。但し、この憲法によつて、後任者が選挙又は任命されたときは、当然その地位を失ふ。

その他の改正事項

   
■歴史的仮名遣いは、すべて現代口語に置換した。
■翻訳調で主述関係が破綻していたり、文の接続が奇異なものは、すべて修正した。

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