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読書メモ:

クリストファー・アレクザンダー『パタン・ランゲージ』と関連著作


1.『都市はツリーではない』(1967

(1)問題意識

自然の都市はセミラチスである。

しかし、現代は都市をツリーとして計画している。

 

(2)「現実の都市はセミラチスである」(実例)

1. 「車と歩行者」の関係

2. 「遊び場」

3.「工場地区」と「住宅地区」の分離

4.現代社会のシステムそのもの

5.都市の居住システム、運営システム

(3)都市をツリーとして計画してしまう思考の罠

(4)「都市はツリーではない」

 (5) では、「セミラチスである都市」とは何か。どのように作るのか。

2.『パタン・ランゲージ』と『時を超えた建設の道』(1977,1979)

上記のアレグサンダーの考えを具体化したのが本作。街を構成する様々な要素である「パタン」を非常に細かく分類し、それらをカタログ化。パタンを適宜組み合わせることで、「セミラチスであるまちづくり」ができることを示している。

(1)「パタン・ランゲージ」とは

街を構成する要素を「パタン」という。パタンは、網目のようなネットワーク構造(=セミラチス)になっている。

これを環境設計の言語(ランゲージ)で表すときは、「骨格を為すパタン」→「肉付けをするパタン」→「それを補強するパタン」と1つの繋がり(シークエンス)で捉える。その総体が「パタン・ランゲージ」である。これはネットワーク構造だから、1つのシークエンスを見ても全体像を掴むことはできない。いくつものパタンをぐるぐると辿ることで、全体像を掴める。

ある1つのパタンは、より大きなパタンを支える要素となり、自らはより下位にあるパタンに支えられ、相互に連関している。このパタンが全て集まることで、ネットワークが1つのランゲージとなる(その中にある各々のシークエンスも、1つの小さなランゲージとなる)。

本書には、「町 / 建物 / 細部の施工」に分かれて、253のパタンが示されている。それぞれのパタンごとに、そのパタンを成り立たせるためのシークエンス(そのパタンの形成に他のパタンがどのように関係しているのか)や条件が説明されている。

(2)パタン・ランゲージの利用例

→パタンNo.173「小さな駐車場」作成の手順とパタンの関係 を例に

(3)アレグサンダーの考え

  1. 街における全ての「パタン」は独立せず、相互に連関して存在する(セミラチス)。

  2. だが、現代の都市計画は粗暴で断片的すぎ、人間性を欠いてしまっている(ツリー)。

  3. だから、パタンの総体(建築・コミュニティ)は、都市計画ではなく、自らの手で為されることが必要。

  4. 本来の都市は、そもそもそのように形成されてきたはずだ。

  5. 自分たちの手に「環境言語」を取り戻し、都市に生気を取り戻すために『パタン・ランゲージ』はある。

→ありとあらゆるものが有機的かつ相互に連関している。それを生かしたまちづくりは、断片的な「計画」からは出来ず、「自らの手」で行われるしかない。

3.『まちづくりの新しい理論』(1987) 

理論がより過激に発展。「全体性」の観点から自然の都市と人工の都市を比較し、「現代の都市計画」を批判している。 

ツリー的な都市計画を「断片的でまとまりがなく、無機的で情もない」と強く批判。

都市の自律的成長を妨げる「近代都市計画そのもの」を根本から問い直す議論へ展開。


【参考文献】


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