トップページへ ちえぶくろトップへ

著作権について


「著作権」について、まとめました。

著作権・著作権法とは

「権利」は、「それをすること」または「しないこと」を自由に決められる資格のことです。著作権は、ある著作物の作者である「著作者」のもつ権利です。

日本国憲法では、「財産権」が保障されています。財産権には、お金や不動産など有形のものを持つ権利である「有体財産権」と、アイデアや技術など無形のものを持つ権利である「無体財産権」があります。著作権は、「無体財産権」の中の「知的財産権」の1つで、知的財産権には、特許権(発明)・実用新案権(物の形や構造・組み合わせのアイデア)・意匠権(デザイン)・商標権(ロゴなど)からなる「産業財産権」と、著作権法が規定する「著作権」とがあります。

著作物の価値を公的に認め、著作者の所有する「著作権」を保護することで、文化の発展に寄与することを目的とした法律が「著作権法」です。


著作物・著作者とは

著作物の条件

著作物となるためには、「文芸・学術・美術・音楽の範囲に属するもの」で、「思想又は感情が含まれて」いて、「創作的」な「表現物である」ことが条件となります。

「創作的」とは、「模倣ではない」ということです。また、「表現物である」とは、人が見たり、聴いたり、触ったりすることができるものであることで、まだ形になっていない「アイデア」は著作物とは認められません。

また、著作権法の定めにより、憲法を含む法令や国及び公共の団体が発する告示や通達なども著作物にはなりません。

著作物の例示

著作権法では、著作物となるものの具体例が示されています。

  1. 言語の著作物(書籍、脚本、論文・レポート、詩歌・俳句、講演)
  2. 音楽の著作物(楽曲、演奏)
  3. 舞踊や無言劇の著作物(バレエやダンス、パントマイムなどの舞踊や振り付け)
  4. 美術の著作物(絵画・版画、彫刻・美術工芸品、マンガ、書、舞台装置)
  5. 建築の著作物(創造的・美術的な建造物本体)
  6. 地図または学術的な性質を有する図面・図表・模型・その他の図形の著作物(地図、学術的な図面・図表・模型、建築の設計図)
  7. 映画の著作物(映画、ビデオソフト)
  8. 写真の著作物(写真、ブロマイド、絵葉書)
  9. プログラムの著作物(コンピューターのプログラム)

このほか、以下のものも著作物です。

  1. データベース
  2. 二次的著作物(翻訳、編曲、変形、脚色、翻案など「ある著作物の形を変えることで生まれる新規の著作物」)
  3. 編集著作物(百科事典・辞書、新聞・雑誌、詩集など「素材の選び方や並べ方」に創作性があるもの)

著作物とならないもの

次のようなものは、原則として著作権の対象とは見做されません(例示)。

著作者とは

著作者が著作物を生み出した瞬間に「著作権」は自動的に発生します。これを「無方式主義」と言います(特許権や商標権などは届け出が必要となり、これを「方式主義」と呼びます)。


著作者を保護する権利

著作権には、著作者を保護する「著作者人格権」と「著作財産権」があります。これらの権利は、その一部または全部を譲渡することも可能です。

著作者人格権

著作財産権


著作物を伝える・広める者を保護する権利

著作物の内容を伝える・広める者を保護する「出版権」と「著作隣接権」について記載します。

出版権

著作権を持つ著作者が、当該の著作物を広める出版社に「出版権」を与えることができます。出版権には、「複製権」と「公衆送信権」が含まれています。

出版権を得た出版社は、当該の著作物を独占的に出版することができます。その代わり、その出版物は出版権を得てから6か月以内に出版し、その後も継続して出版を行う義務を負います。また出版後も、増刷・重版を行う際は出版社は都度、著作者に通知する必要があります。

特段の取り決めがない限りは最初の出版から3年間で出版権は消滅します。また、出版社が上記に記載した義務を果たさなかった場合は、著作者は出版権を取り消すことが可能です。

著作隣接権

実演家やレコード製作者、放送事業者・有線放送事業者には、「複製権」や「放送権」、「送信可能化権」などを認める「著作隣接権」が認められています。


著作権の保護期間

著作権の保護期間は著作者の死後70年(日本)です。その期間が過ぎると、著作権は自動で消滅します。なお、著作者が複数いる場合は最後に亡くなった著作者の死後70年、団体名義の著作物の場合は公表後70年、変名・匿名により著作者の生年月日が不明の場合も公表後70年となっています。

保護期間は上記のみが条件であり、例えば「絶版」となっても著作権の保護期間の短縮などは発生しません。


パブリックドメイン

著作権の保護期間が終了し、著作権が消滅した著作物の他に、著作権を意識せずに自由に利用ができる著作物を「パブリックドメイン」と呼び、以下が該当します。


著作物の利用

許可が必要ない利用

以下に該当する場合を除き、著作物を利用する場合は著作権者または著作権者が著作の管理を委ねる著作権管理団体の許可(許諾)が必要です。

※なお以下の場合は、著作権者の「許可」を得る必要はありませんが、「補償金」が発生します。

正しい引用とは?

引用は、「自分の著作物」の中において、あることを説明する場合において、他者の著作物の一部を使用することです。著作権法では、以下の3点を引用の要件としています。この要件を守る限りにおいて、著作者の許可を得ずに引用が可能です。

  1. 公正な慣行に合致すること(一般的におかしくない方法であること)
  2. 報道・批評・研究などに利用すること(学校教育も含まれる)
  3. 目的上正当な範囲内で利用すること(自身の著作が「主」、引用する著作物が「従」の関係であって、引用元の著作権者の権利を害さない程度の分量を引用すること)

また、引用にあたっては、一般的には以下のようなルールが認められます。

  1. 正確に、原文通りに引用すること。仮に目的上、やむを得ず原文に「傍線」「強調」「省略」「注釈」などを加える場合は、引用した側の著者がその旨を明記すること。
  2. 引用した部分を地の文とは区別し、引用した部分を分かりやすく示すこと。
  3. 引用する必然性や理由を明記すること。
  4. 引用元(ソース)を明示すること。

引用元の標示方法は、一般的には以下のようなルールが認められます。

公共図書館でのコピーの要件

公共図書館での著作物のコピーは、著作権法で認められた権利です。一般に、以下の3つの要件が必要です。

  1. 個人の学習・調査・研究で使用する目的であること
  2. 一人につき1部であること
  3. 資料の全体ではなく、一部分であること(概ね、50%以下)

著作権 OK? NG?

これって「著作権法」的にはOK?NG? どちらでしょうか。まとめてみました。炎上を防ぐためにも。

■自分のお店が新聞で紹介されたので、「新聞の切り抜き」を店頭の掲示板に貼りました。

→ OK。複製をしているわけではないので、単に「自分の購入した新聞の記事を、お店に来た人に紹介してあげている」だけに過ぎません。ただし、「新聞のコピーを掲示する」のは、「複製」にあたりNGです。当然ながら、「新聞記事そのものを自分のお店のホームページに載せる」のも、「公衆送信権」を侵害していますのでNGです。

■ディ●ニーランド(R)で、ミ●キー(R)が写り込んでしまった写真をWeb上にアップしました。

→OK。ただし、それが主役ではなく、あくまでも「写り込んでしまった」場合に限ります。

■学校の授業で使うため、ドリルの問題集の1冊分をクラスの全員分、コピーして生徒に渡しました。

→ NG。いくら教育目的とはいえ、「1冊丸ごと」はやりすぎというものです。「著作権者の権利を不当に害する」例といえるでしょう。

■大学の授業中、教授の板書をスマホで撮影し、欠席した友だちにLINEで見せてあげました。

→NG。板書は教授の著作物です。スマホの撮影は「複製」にあたり、厳密には教授の「許諾」が必要です。

■子ども会のイベント(読み聞かせ会)で、遠くの子どもも本の内容が見えるように絵本をプロジェクターに映しました。

→NG。非営利なので「よかれ」と思っても、複製に該当するため、著作権者の許可が必要です。よく聞かれる例として、「遠くの子どもも見えるように本を拡大コピーした」というケースもありますが、これも同様です。プロエジェクターや拡大コピーによって原本の質感・サイズ感などを変更することにもなるため、翻案権や同一性保持権を侵害するおそれもあります。なお、弱視など視覚障碍者向けを目的とする場合は、著作権法により複製や翻案が認められています。

■XやYouTubeのプロフ画像を、ネットで拾ってきた好きなアニメアイコン(タレント・俳優のアイコン)にしました。

→NG。公衆送信権を侵害しています。また、「タレント・俳優」のアイコンにすると、パブリシティー権や肖像権の侵害ともなります。なおLINEやスマホの通話アプリなど、家族・友人などの少人数でやり取りする場合は「公衆」ではなく「私的利用」の範疇なのでグレーゾーンとなりますが、グループ通話をおこなう場合などは人数によっては「公衆」と見做され得ますので、基本的にはいかなる場合でも自身で撮影・作成した画像を使っておくのがよいでしょう。

■違法アップロードされているテレビ番組を見ました。

→違法と知っていてダウンロードしたり、録音・録画したりした場合はNG。「見てしまった」だけでは即座に違法とはなりませんが、極めてグレーな行為となります。

■YouTubeで「ゲーム実況」をはじめました。

→原則NG。ただし、ゲーム会社がゲーム実況の宣伝効果を認めるケースが増えており、会社ごとに実況の条件や注意事項を定めた上でゲーム実況を推奨している(もちろん、それを認めていない会社もあります)ので、「著作権法上は違法だが、著作権者の許諾の範囲においてその違法性が棄却されている」というのが現状です。

■YouTubeで「踊ってみた動画」をアップしました。

→原則NG。曲や歌・歌詞までは著作権管理団体と動画サイト側との「年間包括契約」によって、個人での利用までは認められている可能性も高いですが、「演奏の音源」や「ダンスの振り付け」などの著作権を侵害している危険性があり、極めてグレーであることが現状です(ただし、著作権者が利用を認めている場合もありますので、必ず権利関係の確認を行います)。

■YouTubeで「読み聞かせ動画」をアップしました。

→NG。ゲーム実況とは異なり、書籍の内容を「読み聞かせ」することは、「ネタバレ」以外の何物でもなく、宣伝効果どころか営業妨害になっている可能性が高いものです。したがって、無許可の読み聞かせ動画は「違法」となる可能性が高いと言えるでしょう。



トップページへ
ちえぶくろトップへ