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適応障害の再発を防ぐ考察-よく寝る、適度に身体を動かす、即レス文化(マルチタスク支配)からの脱却


◇このページは?

適応障害の再発を防ぐためにできることは何か、を考察したページです。せっかく寛解しても、再発してしまっては元も子もありません。二度とあの苦しい思いをしないためには、どうしたらよいのでしょう?ここでは、「よく寝る」「適度に身体を動かす」「即レス強要文化(マルチタスクの支配)から脱却する」の3点に絞って記述してみました。

よく言われるように、マインドフルネスとか、自分の認知を変えるとかって、効果は間違いなくあるんでしょうけど、どうもハードルが高いというか、「またそれか」感があるというか、難しすぎて続かない気がするんですよね。正直、「腹式呼吸」「ストレッチ」「今ここに集中」云々言われても、耳にタコができるばかりで、どうもやる気が起きないというか・・・。ここはもっとシンプルに「よく寝る」「適度に身体を動かす」「即レスから逃げる」という風に、まずは具体的に、実践のハードルを下げることが重要な気がします。


よく寝る

適応障害になって気づいたこと。それは、どんな健康法を試そうが、食事をしようが、運動をしようが、リラクゼーション法を試そうが、結局は「ちゃんと寝る」ということこそが、唯一の疲労回復法だということです。四の五の言わずに「疲れたら寝る」ことが重要で、「よく眠れないなら、医者に薬をもらってでもちゃんと寝る」ということが必要なのです。

ちゃんと寝ると、体の疲れがしっかり取れるだけでなく、精神状態もみるみる回復してきます。思考が前向きになって、あれだけ萎えていたやる気も出てきます。

ここ何年も「朝ってこんなにすっきりしているんだ!」と思えるような眠り方ができていない場合は、一度、しっかり「よく寝る」ということに向き合うことを本気で考えるとよいでしょう。そして、一度「よく寝る」モードの快適さを知ったら、それを維持するためにはどんな生活をするとよいのかを内省しましょう。どんな自己啓発よりも、どんな薬よりも、「よく寝る」に勝るQOL向上は、おそらくありません。


◇適度に身体を動かす

「運動が大切」というのは、それこそ言われ過ぎて耳を素通りするワードです。もう聞きたくもないですよね。しかし、やはり「身体を動かす」ことは大切です。日の光を浴びてセロトニンを分泌させることで抑うつ症状を緩和させるだけでなく、筋肉を使うので仕事に必要な持久力も上がりますし、汗腺を開くことで熱中症の予防にもなります。いいこと尽くしです。

ここで言われる運動のポイントは、「適度」ということです。どれくらいが適度かは個人差があると思いますが、概ね、「他のことを忘れるくらいの苦しさがある」くらいが「ちょうど」なのではないかと勝手に感じています。

ゆっくり散歩くらいですと、おそらく余裕なので不安や心配事などの雑念が浮かんできてしまうと思うのです。かといって、ハードなランニングレベルになると、「息も絶え絶え」でストレスフルな気がします。「話しかけられたら返事くらいはできるけれど、基本的には息がまあまあ苦しくて、脚もそれなりに痛くて、とりあえず前に進むことしか考えられない」くらいのジョギングが程よいような気がします。

「他のことを忘れる」というのは、要するに「今ここに集中」するということであり、それすなわち「マインドフルネス」にも通ずる考え方です。「頭の支配ではなく、心と身体で生きる」という経験を運動中にすることで、「すっきり」することができるのではないかと思います。この「すっきり」が、どうも適応障害には覿面、効くようです(経験談)。

なおこの運動、社会人ならば週2回、20分ずつもできれば上出来でしょう。走る前のラジオ体操、走った後の簡単なストレッチ(伸びでOK)も加えると、怪我もしにくくなるはずです。

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この運動に加えて、リモートワークが中心の人は、次のことをやってみてもよいでしょう。

1つが、「無理やり出社する日を作る」です。オフィスへ通勤するというのは、「駅の往復」「電車で立つ」「オフィス内の移動」など、ちょっとした動きの積み重ねで成り立っています。意外と運動しているんですよね。オフィスの通勤を敢えて週に何回か行うことで、確実に「身体を動かす」経験になります。

もう1つが、「朝と昼に散歩をする」です。朝、勤務開始前に近所の散歩で「疑似出勤」をするのです。昼食前などにも実践するとなおよいでしょう(「疑似ランチタイム」)。単調になりがちなリモートワークのメリハリにもなります。


即レス強要文化からの脱却(マルチタスク支配からの脱却)

「寝る」「運動」ときて、3番目は「即レスからの脱却」です。メンタル面では、かなり重要な要素かと思いますので、紙幅を割いて解説していきたいと思います。

現代社会は、「即レス至上主義」と言ってもいいほど、即レスの要求にあふれかえっています。メール、電話、SMS/MMS、LINE、Slack、teams、Zoom・・・と、あなたに襲い掛かる「即レス要求」の波。各種通知は、私たちに容赦なくマルチタスクを迫ってきます。ただ、よく知られているように、人間は「マルチタスク」ができるようにはなっていないようです。マルチタスクができているように見えるのは、「シングルタスク」を脳内で高速に切り替えているからだ、と言われています。ですから、「即レス」に「即レス」を重ねていたら、それはいつか破綻し、疲弊し、燃え尽きてしまうことでしょう。

なかなか「休職」にまで至らないと、この「即レス強要文化」の異常さに気づくことはできません。しかし一度適応障害になり、休職し、浮世から離れてみると、いかに「即レス」が心を蝕み、生産性を害し、人間性を失っていたかに気づかされることになるのです。

一度適応障害になってはっきりわかったことがあります。それは、即レス自体には、意味がないということです。そりゃ、上司や同僚は即レスしてくれたら喜びますよ。しかし、それはただ単に「便利だから」であって、実は即レスをしたからといって、その人の業績的な評価には一切影響しないのです。即レスをしようがしまいが、本質的な業務には何の関係もないからです(エッセンシャルな仕事は除く)。そもそも、即レスのしすぎで燃え尽きたほうがよほど業績に影響するので、そんなことで人生の回り道を強いられるくらいなら、即レスからは一切手を引いたほうがよいのです。

「即レスしないなんて、できっこない」と思っている方は、おそらくワーカーホリックです。私は、「休めるわけない」となっている人はすでに適応障害の入口に入っていることを随所で警告していますが、それとかなり酷似しています。

「即レスしない」ことは、実はすぐに実践できます。そして、これをすると、途端に「あきらめ」がついて、気持ちがとてもラクになります。

ここで「即レスしないことによる、他人の迷惑も考えろ」という反論も聞こえてくるでしょう。もちろん、謙虚に「即レスしない」ことは大切です。大上段に「私は即レスしない人間です」とやってしまっては、総スカンにあうでしょう。そうではなく、自然に、ごく自然に「即レスしない」のです。ステルスでよいのです。

ここで私は、とても大切な概念を提唱したいと思います。「お互い様」という概念を、です。

自分が即レスしなくて申し訳ないな、と思ったら、常にこんな言葉を意識しておきましょう。「一番大切なのは、自分とその家族です」ということ、そして「他者貢献は、持続可能な自分があってこそ成立する」ということ。さらに「究極的には、仕事において奉仕するのは他人の生活や他人の金勘定なのだから、そこに自分のすべてを投げ出す必要はない」ということです。

これは、自分もそうですが、同僚も上司も、取引先も、ステークホルダーすべてがそうなのです。-つまり、お互い様です。

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即レス強要文化からの脱却プロセス

(1)1日のスタートルーチンを決める

今日からは、「お互い様」の観点で、他者評価に搦めとられるのではなく、「自分にとって必要で、重要」な行動を選択的に取っていきましょう。

その1.今日、自分は何をするか?

最初に、勤務開始の5分を使って、「1日のスケジュール」と「今日のtodo」を確認します。「10分でできること」「1時間以上かかること」といった時間配分はもとより、「緊急で重要なこと(クレーム対応など)」「緊急だが重要ではないこと(〆切直前の会議出席の回答など)」「緊急ではないが重要なこと(1週間先のプレゼン資料の構成など)」「緊急でも重要でもないこと(1週間以内に経理部に再提出が必要な領収書のアップロードなど)」の配分も考えます。

ところで配分には、こういう考え方もあるかもしれません。「自分にとって重要で、他者にとっても重要なこと(1週間先のプレゼン資料の構成など)」「自分にとっては重要でないが、他者にとっては重要なこと(クレーム対応、〆切直前の会議出席の回答、1週間以内に経理部に再提出が必要な領収書のアップロードなど)」「自分にとっても、他者にとっても重要ではないこと(そもそもやる必要がないこと)」

・・・こうしてみると、いかに「緊急だが重要ではないこと」や「自分にとっては重要でないが、他者にとっては重要なこと」が多いかが分かります。仕事のパフォーマンスを上げるためには、いうまでもなく「自分にとって重要で、他者にとっても重要なこと」のボリュームを上げていく必要があるわけです。

この取捨選択を毎日のルーチンとしてやっていくと、「必要以上に自分から自分にとって重要でない案件に声を掛けない」とか、「自分にとって重要度の低いミーティングの出席は断る」といったことが自然にできるようになり、畢竟、「自分にとって重要で、他者にとっても重要なこと」に専心できる確率が高くなっていくはずです(そのほうが、実は業績だって上がると思いませんか?会社は業績を上げるところであって、他者にとってのみ重要なことを自分がやるところではそもそもありません)。

その2.勤怠入力・精算

次に行うのは、メールチェック・・・ではなく、勤怠の入力と精算です。朝のエンジンが掛かりだしたときに、いきなり他人の用事に首を突っ込む必要はありません。まずは自分のことからです。自分の時間管理と清算をすることで、「そうだ、自分はここで金を稼いでいるんだ」という意識をもてるので、何となくモチベーションも上がってきます。後回しにしがちな業務ですが、自分に関係あることだからこそ、先にやってしまうのです。

その3.ようやくメールチェック、teamsや社内掲示板などの通知確認

自分の用事を済ませたら、ここで初めてメールチェック(や社内共有ツールの通知確認)をします。他者の相手をする時間ですね。当たり前ですが、ここで必要なものはすぐ返信し、置いておきたいものにはフラグを立て、その他は目を通したらすぐに削除。やることは以上です。あとはすぐに自分の業務に取り掛かりましょう。

ここで、teamsやslackなどの社内共有ツールに対して、「いいね」などの反応は一切しないようにします。「いいね」を押そうが押すまいが、業績には1ミリも影響しません

(2)メールやteamsなどの確認は1日3回まで

即レスをやめるためには、メールチェックやteams、slackなどの確認頻度を自分でコントロールするのが最良です。当然ながら通知はオフにして、自分から見に行かないとメール本文やトピックが見られないようにすると、物理的に即レスがしにくくなるのでお勧めです。

確認する時間帯

上述の通り、朝自分の最低限の用事が終わってからと、お昼休憩の20分くらい前、退勤の20分くらい前の3回がお勧めです。予定に予め「メールチェックの時間帯」を組み込んで、それ以外の時間では対応しないように決めるのもよいでしょう。「できるわけないだろう」と思われるかもしれませんが(私も適応障害でぶっ倒れる前は、それ系の本を読んでブチ切れていましたからわかります)、すぐできます。なにも「1か月メールを見るな」といっているのではありません。8時間のうち、3回は見ていいのです。3時間弱に1回は見るのですから、実は大したことはありません。

通知オフの方法(→即レス退散!PCとスマホの「通知オフ」、おススメ設定!!

スマホの電話は、ロック画面オフ、バナーオフにして、バッジのみオンにする。電話は緊急の場合があるのでさすがに着信をオフにするのは憚られますが、電話ですら、必ずしも即答しなければならないツールではないことは記銘しておきましょう。

スマホのSMSやMMSも、同様にロック画面オフ、バナーオフで、バッジのみオンにすれば事足ります。

スマホへ社用のメール転送システムを使用している場合、こちらもロック画面オフ、バナーオフで、バッジのみオンでよいでしょう。

スマホでteamsやslackを使用している場合は、同様にロック画面オフ、バナーオフで、さらにメールと違ってバッジもオフにしても問題ないでしょう。どうせあとでまとめて見に行くのですから、バッジがいくらたまろうが関係ないのです。

PCのメールは、ポップアップ通知をオフにするとよいでしょう。また、宣伝メールは迷惑メールフォルダへ、まず読まないような特定のメールは自動振り分けフォルダへ入れてまとめて消去するとよいです。

PCのteamsは、「スタートアップから削除」(「起動時にオフ」)、ポップアップ通知をオフ(ただしチャットのみオン)、メールでの通知をオフにしておき、原則として「自分から見に行かないとき以外は目に触れない」ようにしておきましょう。また、上記でも書いた通り、「いいね」は(自分からは)絶対に押しません。 なお、増殖しがちなteamsの「チャネル」は、日常的によく使うもの以外は「非表示」にしておくことをお勧めします。

ビデオ会議は、原則として「顔出しオフ」で参加します。コメントに対して「いいね」等の反応もしません。発言やコメントはプレゼンする場合、もしくは発言を求められたときだけにして、必要最小限度の参加にとどめます。ビデオ会議の表面的なプロセスに積極的に参加しようがしまいが、これまた業績には1ミリも影響しないのです(リアル会議と同じですよね)。大切なのはどこまでも実質であり、見かけの積極性では決してないのです。

メールのマイルール

送る人も読む人も手短に済ませたいものです。

  1. 「とりあえずCC」はしない。返信して欲しければ「to」で送る。

  2. 「全文引用」をしない。必要な箇所だけ「インライン」で送る。

  3. 社内メールには「社外用の署名」をつけない。

「いいね」のマイ作法

これ以上、「他者」の奴隷にならないために。適応障害で倒れる前は、「即レスするマン」だっただけに、この変わりようは我ながら恥ずかしいとしか言いようがないですね。

  1. 「いいね」は原則押さない。反応が欲しければメールか関係者に直接チャット(メンション)する。
  2. 「読んだ人は【いいね】を押して」という場合も、原則押さない。この指示は見落とす可能性があるので、非常に乱暴な方法といえる。本当に状況を確認したければ投票機能を使うべきだ。
  3. より過激な「ハート」や「顔」に至っては、意地でも押さない。感情を伝えたければ直接伝えればよいだけである。

(3)バッファーを設ける

予定通りに進まないのが仕事です。そこでお勧めするのが、毎日の予定にバッファーを設けること。そしてこのバッファーは、「動かせない予定」として、毎日しっかりと持っておくことが重要です。

バッファーは、1回当たり30分ほど設けるとよいでしょう。朝に1回、昼に2回、計90分を「余裕時間」として確保することで、予定がずれた時にここで吸収させます。余れば、翌日分の仕事をするもよし、前倒しして早めに仕事を切り上げるもよし、今の仕事の質的充実を図る(70%仕事を80%に高めるなど)のもよし、です。ポイントは、とにかく「動かせない予定」として予め組んでしまうことです。

(4)しっかり休憩する

理想は、45分~50分くらいで一区切りして、10分~15分休憩するようなリズムです。トイレ、お茶を飲む、お菓子をつまむ、ストレッチをする、手帳を見直す、少し音楽を聴く、外を見る、机の上を片づける・・・もちろん、頻回に休めるわけがないことなど百も承知です。休憩できないときは、それでも、昼休みはせめて1時間しっかりと取りたいものです。・・・え?休めるわけないですって。私もそう思っていました。でもそれはワーカホリックという正常な心を失う病気によるものでした。「休めるわけない」となっている人はすでに適応障害の入口に入っていることを肝に銘じ、「休憩をとる」ことも仕事の1つと捉えて、積極的に休みましょう。

「即レス」をなくせば、不思議とちゃんとした休憩時間を捻出できることに私は気づいてしまいました。即レスによる業務中断をなくし、集中して仕事をすることで、業務効率は飛躍的に高まることを今更ながら実感させられています。

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「即レス」は、やればやるほどただの「便利屋」になるだけで、何の評価にもなりません。百害あって一利なしの愚行です。少なくとも、自分の作業を中断して反応するのではなく、「対応する時間を創出する」ことを心がけたいものです。繰り返しになりますが、以前は「元気に即レスするマン」でただの「便利屋」に成り下がり、見事に適応障害に陥った「他者評価の奴隷」だった馬鹿でクソでうんこな私が心の底から叫びます。「即レスだけはしちゃだめだ!」と。



公開開始:2022年3月15日
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