「君たちはどう生きるか」を見た話

宮崎駿の映画「君たちはどう生きるか」を見ました。

前評判であまりにも「わかりにくい」という声が多かったので構えて見に行ったのですが、百聞は一見に如かず。筋書きはいい意味できわめてシンプルですし、普通に最後までストーリーを追って楽しめました。

うーん・・・確かに、「魔女の宅急便」とか「ラピュタ」の時代の「わかりやすさ」はないのかもしれませんが、言ってしまえば「トトロ」だって「ポニョ」だって、気を抜いていたら「え?なんで?」みたいなファンタジー要素全開なわけで。今回は「自己を肥大化させて調子に乗ると破滅する」というメッセージだったかと思うのですが(拡大解釈)、このメッセージも、例えば「ナウシカ」「もののけ姫」路線の、「自然(大いなるもの)を蔑ろにするものは滅びる」という宮崎流メッセージと思えば「わかりにくい」ということはあまりないんじゃないかなー、と思いました。

こうしてネットの片隅に書いておいてなんですが、やはりネット上の口コミというのはサイレントマジョリティの意見ではないことが多いので、「参考」にはしても、「それが全部」と思わないというリテラシーは重要ですね。もちろん、私の意見も鵜呑みにしてはなりませぬ。

しかし、やはり宮崎駿はすごいですね。直接的に「自然を大切に!」とか、「当たり前の日常に感謝することもなく調子に乗ってると痛い目見るぞ」と大上段に構えて説教されると反発心もわきますが、こうして内面世界に仮託した形で「傲慢な生き方を改めよ」と訴えかけられると、素直に受け入れられるから不思議です。やはり(私が言うまでもないですが)稀代の表現者なのだと思いました。とにかく、衰えぬ迫力がありますよね。すごいなぁ。